私たち人間は、「より良く生きたい」という気持ちを持っています。その気持ちを段階的に整理したものが、心理学者アブラハム・マズローが提唱した「5段階欲求説」です。これは、人の心の動きを理解するうえで、とても役立つ理論です。
① 生理的欲求(生きるための基本)
最初の段階は、生きていくために必要な欲求です。
• 食べたい
• 眠りたい
• 安全な場所で休みたい
この欲求が満たされていないと、他のことを考える余裕はありません。例えば、食事や睡眠が不足していると、勉強や仕事に集中できないことがありますよね。
② 安全の欲求(安心して暮らしたい)
次に出てくるのは、「危険から身を守りたい」「安心して生活したい」という気持ちです。
• 住む家がある
• 収入が安定している
• 健康を守れる環境がある
この欲求が満たされていると、心に余裕が生まれます。逆に、不安定な状況だと「将来どうなるだろう」と落ち着かなくなります。
③ 社会的欲求(仲間とつながりたい)
人は一人では生きられません。家族や友人、職場の仲間など、「人とのつながり」を求めます。
• 家族に受け入れられる
• 友人や同僚と支え合える
• コミュニティに所属している
孤独感は大きなストレスになります。だからこそ、福祉や地域活動では「人と人がつながれる場所」が大切にされています。
④ 承認欲求(認められたい)
次に出てくるのは「自分の存在を認めてほしい」という欲求です。
• 仕事や学業で成果を出す
• 「ありがとう」と言われる
• 自分の強みを活かせる
他人から評価されるだけでなく、「自分自身で自分を認める」ことも含まれます。承認欲求が満たされると、自信や自己肯定感につながります。
⑤ 自己実現欲求(自分らしく生きたい)
最上位の欲求は「自分の可能性を最大限に発揮したい」というものです。
• 自分の夢を追いかける
• 社会に役立つことをする
• 創造的な活動を楽しむ
これは「やらなければならないこと」ではなく、「本当にやりたいこと」を形にしていく段階です。
まとめ
マズローの5段階欲求を振り返ると、人はただ生きるだけでなく、「安心」「つながり」「認められること」「自己実現」へと成長していく存在だとわかります。
日常生活でも、仕事や子育て、福祉の現場でも、「相手はいま、どの段階の欲求を求めているのだろう?」と考えることで、より良い関わり方が見えてきます。
次回の記事は①「5段階欲求を子育てや職場でどう活かすか?」と②「承認欲求とSNSの関係」を続けて出していきます!