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  • 自立訓練(生活訓練・機能訓練)とは?

    自立訓練 は、障害のある人が地域で自分らしく暮らしていけるように、

    日常生活や社会生活の基本的な力を身につけるための福祉サービスです。

    自立訓練には大きく分けて 「生活訓練」 と 「機能訓練」 の2種類があります。


    1. 自立訓練(生活訓練)

    生活訓練 は、主に 精神障害や発達障害、知的障害などのある人 が対象です。

    目的

    • 家事や身の回りのことを自分でできるようにする

    • 社会での人との関わり方を練習する

    • 働くための準備をする

    内容

    • 調理、掃除、洗濯などの日常生活スキルの練習

    • コミュニケーションや対人スキルのトレーニング

    • 金銭管理や買い物の練習

    就労移行支援や地域生活への移行を見据えたサポート

    利用期間は 最長2年間。

    「グループホーム」や「就労支援」など、次のステップにつなげる橋渡しの役割があります。


    2. 自立訓練(機能訓練)

    機能訓練 は、主に 身体障害のある人 が対象です。

    目的

    • 障害や病気によって低下した身体機能を維持・改善する

    • 社会生活に必要な動作を身につける

    内容

    • リハビリ(歩行訓練、手足の動きの練習など)

    • 補装具や福祉用具を使った動作の練習

    • 日常生活動作(食事、着替え、入浴など)の自立支援

    医療的なリハビリが終了した後に利用するケースが多く、生活の質を高めることが目的です。


    3. 利用までの流れ

    1. 市区町村(障害福祉課など)に相談

    2. 相談支援専門員と「サービス等利用計画」を作成

    3. 受給者証の交付

    4. 自立訓練事業所と契約

    5. 利用開始


    4. 利用料金

    • 原則 1割負担

    • 所得に応じて 月額上限あり


    5. まとめ

    自立訓練は、

    • 生活訓練 → 精神・発達・知的障害のある人の「生活力・社会力アップ」

    • 機能訓練 → 身体障害のある人の「身体機能の維持・改善」

    というように、それぞれのニーズに合わせて 地域での自立を後押しする大切なサービス です。


    障害者福祉サービスのそれぞれの役割について以下のリンクから詳しい記事に移れますのでぜひ参考にしてみて下さい。

    生活介護

    居宅介護

    重度訪問介護

    短期入所(ショートステイ)

    就労支援

    自立訓練

    グループホーム

    施設入所支援

  • 就労支援とは?わかりやすく解説

    「働きたい」という気持ちは、障害のある人にとっても同じです。

    しかし、一般的な職場で働くにはさまざまなハードルがあり、就職や仕事の継続が難しいケースも少なくありません。

    そんなときに役立つのが 障害者福祉サービスの就労支援 です。

    今回は、その仕組みやサービス内容をわかりやすく紹介します。


    1. 就労支援の目的

    就労支援は、障害のある人が

    • 「自分に合った働き方を見つける」

    • 「働き続けられる環境を整える」

    ことを目的としています。

    単に仕事を紹介するだけではなく、職業訓練・生活支援・職場定着のサポートまで幅広く関わります。


    2. 主な就労支援サービス

    障害者総合支援法に基づくサービスには、次のような種類があります。

    (1)就労移行支援

    • 一般企業で働くことを目指す人向け

    • ビジネスマナー、パソコン操作、履歴書の書き方などを学ぶ

    • 実習を通じて自分に合った職種を探せる

    (2)就労継続支援A型

    • 雇用契約を結んで働くスタイル

    • 事業所と正式に雇用契約を結ぶため、給料が発生する

    • 比較的安定した労働環境で、支援を受けながら働ける

    (3)就労継続支援B型

    • 雇用契約を結ばず、作業をして工賃を受け取るスタイル

    • 体調や生活リズムに合わせて、自分のペースで働ける

    • 働く練習の場として利用する人も多い


    3. 就労支援で受けられるサポート

    • 仕事に必要なスキルの習得(作業訓練、パソコン、接客など)

    • 職場実習の機会(企業や事業所での体験)

    • 就職活動のサポート(履歴書、面接練習、求人紹介)

    • 就職後のフォロー(定着支援で職場に長く続けられるようにサポート)


    4. どうやって利用するの?

    利用の流れは以下の通りです。

    1. 市区町村の障害福祉窓口に相談

    2. サービス等利用計画を作成

    3. 受給者証を取得

    4. 利用したい事業所と契約してスタート


    5. まとめ

    障害者福祉における就労支援は、

    • 一般企業で働くための準備(就労移行支援)

    • 契約して働く(A型)

    • 自分のペースで働く(B型)

    というように、それぞれの状況に応じた選択肢があります。

    「働いてみたいけど自信がない…」という方でも、一歩ずつ自分の可能性を広げられるのが就労支援です。

    まずは、地域の相談支援事業所やハローワークの障害者窓口に相談してみましょう。


    障害者福祉サービスのそれぞれの役割について以下のリンクから詳しい記事に移れますのでぜひ参考にしてみて下さい。

    生活介護

    居宅介護

    重度訪問介護

    短期入所(ショートステイ)

    就労支援

    自立訓練

    グループホーム

    施設入所支援

  • 短期入所(ショートステイ)とは?

    短期入所(たんきにゅうしょ) は、障害のある人が 一時的に施設などに宿泊しながら生活支援や介護を受けられるサービス です。

    「ショートステイ」とも呼ばれ、家庭での介護が難しいときに安心して利用できます。


    1. 短期入所の目的

    • 家族の休養やリフレッシュ(レスパイトケア)

    • 急な用事や体調不良などで 一時的に介護できないときの代替支援

    • 本人にとっても 集団生活や余暇活動の経験の場 となり、社会性を育むことができる


    2. 対象者

    身体障害・知的障害・精神障害・難病などで日常生活に支援が必要な人

    • 自宅で暮らしていて、短期間だけ入所による支援を希望する人


    3. 利用できるサービス内容

    短期入所では、施設に宿泊して以下の支援を受けられます。

    • 入浴、食事、排泄の介助

    • 日常生活のサポート(着替え、健康管理など)

    • 創作活動やレクリエーションなどの余暇支援

    • 療育的な関わり(子どもの場合)

    数時間から数日、数週間単位まで、状況に応じて利用できます。


    4. 利用の流れ

    1. 市区町村の障害福祉課に相談

    2. 相談支援専門員と「サービス等利用計画」を作成

    3. 受給者証の交付

    4. 短期入所事業所と契約

    5. 利用開始


    5. 利用料金

    • 原則 1割負担

    • 所得に応じて月額上限あり

    • 食費や光熱費、日用品費は自己負担になることがあります


    6. まとめ

    短期入所(ショートステイ)は、

    • 家族にとっては 介護の負担を軽減する休息の機会

    • 本人にとっては 安心して過ごせる居場所や社会参加のきっかけ

    となる大切な障害福祉サービスです。


    障害者福祉サービスのそれぞれの役割について以下のリンクから詳しい記事に移れますのでぜひ参考にしてみて下さい。

    生活介護

    居宅介護

    重度訪問介護

    短期入所(ショートステイ)

    就労支援

    自立訓練

    グループホーム

    施設入所支援

  • 重度訪問介護とは?分かりやすく解説

    重度訪問介護は、常に介助が必要な重度の障害者が、地域で安心して暮らせるように支援するサービスです。

    日常生活全般の支援だけでなく、外出や社会参加までサポートすることが特徴です。


    1. 目的

    重度訪問介護の目的は、

    • 生活の基本的な介助を受けながら自宅で暮らすこと

    • 地域で外出や社会参加ができるよう支援すること

    です。

    通常の居宅介護では対応しきれない 重度の障害者や常時介護が必要な人 が対象となります。


    2. 誰が利用できる?

    重度訪問介護は以下のような人が対象です。

    • 18歳以上で、身体障害・知的障害・精神障害などにより 常時介助が必要な方

    • 移動や排泄、食事など日常生活全般で手助けが必要な方

    • 市区町村が定める 障害支援区分(3以上など) に該当する方


    3. 支援内容

    重度訪問介護では、生活全般の介助に加えて、社会参加のサポートも行います。

    (1)生活介助

    • 食事、排泄、入浴、着替えなどの身体介護

    • 安全の確保や健康チェック

    (2)日中活動や外出の支援

    • 買い物や病院受診の付き添い

    • 趣味や余暇活動、地域行事への参加支援

    (3)生活全般の相談や助言

    • 生活環境の調整

    • 福祉サービスや医療との連携


    4. 利用の特徴

    • 長時間の支援が可能

    → 1日数時間〜24時間対応まで、利用者の状況に応じて柔軟に設定

    • 自宅での生活を重視

    → 利用者が自宅で安全に生活できるよう、環境整備や介助計画を作成

    • 地域での活動も支援

    → 社会参加や外出の支援も含まれる


    5. 利用までの流れ

    1. 市区町村の障害福祉課に相談

    2. 障害支援区分の認定

    3. サービス等利用計画の作成(相談支援専門員がサポート)

    4. 受給者証の取得

    5. 事業所と契約して利用開始


    6. 費用

    • 原則として 自己負担は1割

    • 所得に応じて負担上限が設定されており、低所得世帯はほとんど負担がない場合もある


    まとめ

    重度訪問介護は、

    • 重度の障害や常時介助が必要な人が対象

    • 日常生活全般の介助だけでなく、外出や社会参加もサポート

    • 自宅で安心して暮らしながら、社会とのつながりを持てるよう支援する

    という特徴を持つサービスです。


    障害者福祉サービスのそれぞれの役割について以下のリンクから詳しい記事に移れますのでぜひ参考にしてみて下さい。

    生活介護

    居宅介護

    重度訪問介護

    短期入所(ショートステイ)

    就労支援

    自立訓練

    グループホーム

    施設入所支援

  • 居宅介護とは?わかりやすく解説

    障害をもつ人が地域で安心して暮らすためには、日常生活のさまざまなサポートが必要です。

    その中で提供される代表的な障害福祉サービスが 「居宅介護(きょたくかいご)」 です。


    1. 居宅介護の目的

    居宅介護は、障害のある人が 住み慣れた自宅で自立した生活を送れるように支援すること を目的としています。

    介助が必要な部分だけをサポートすることで、本人の生活の主体性を大切にします。


    2. 対象者

    身体障害、知的障害、精神障害、難病などで 日常生活に介助が必要な人

    • 市区町村の審査で障害支援区分が認定された人

    • 主に 自宅で生活している人


    3. 支援内容

    居宅介護のサービスは大きく3つに分かれます。

    (1)身体介護

    • 入浴、排泄、食事の介助

    • 着替え、洗面、体位交換

    (2)家事援助

    • 掃除、洗濯、調理、買い物

    • 日常的な生活を維持するための支援

    (3)通院介助

    • 病院への付き添い・移動支援

    • 薬の受け取りや診察時のサポート

    必要に応じて、短時間〜長時間まで柔軟に利用できます。


    4. 利用までの流れ

    1. 市区町村の障害福祉課に相談

    2. 障害支援区分の認定を受ける

    3. 相談支援専門員と「サービス等利用計画」を作成

    4. 受給者証の交付

    5. 居宅介護事業所と契約し、利用開始


    5. 費用

    • 原則 1割負担

    • 所得に応じて 月ごとの上限額 が設定され、低所得世帯は負担が軽くなる仕組み


    まとめ

    居宅介護は、

    • 自宅で生活を続けたい人にとって欠かせないサービス

    • 身体介護、家事援助、通院介助と幅広くサポート

    • 自立生活や在宅での暮らしを支える基盤

    という役割を果たしています。


    障害者福祉サービスのそれぞれの役割について以下のリンクから詳しい記事に移れますのでぜひ参考にしてみて下さい。

    生活介護

    居宅介護

    重度訪問介護

    短期入所(ショートステイ)

    就労支援

    自立訓練

    グループホーム

    施設入所支援

  • 障害福祉サービスとは?基本をわかりやすく解説

    私たちが暮らす社会には、障害のある人が安心して生活し、自分らしい人生を送るための仕組みが整えられています。その中心にあるのが「障害福祉サービス」です。

    今回は、その基本的な内容をわかりやすく紹介します。


    1. 障害福祉サービスの目的

    障害福祉サービスは、障害のある人が 「地域で自分らしく暮らし、社会に参加できること」 を目指しています。

    単に生活を助けるだけでなく、仕事や学び、交流の場を広げることも大切な役割です。


    2. どんなサービスがあるの?

    大きく分けると、以下のような種類があります。

    (1)生活を支えるサービス

    生活介護:常に介護を必要とする人に昼間、入浴、排泄、食事の介助等を行うとともに創作的活動または生産活動の機会を提供

    居宅介護:ヘルパーが自宅に訪問し、食事・入浴・掃除などをサポート

    重度訪問介護:24時間に近い形で見守りや介助を行うサービス

    短期入所(ショートステイ):一時的に施設で生活をサポート

    (2)働くことを支えるサービス

    就労移行支援:一般企業で働くための準備や訓練

    就労継続支援(A型・B型):障害のある人が働く場を提供

    自立訓練:日常生活や就労に必要な力を身につける支援

    (3)暮らしの場を提供するサービス

    グループホーム:数人で共同生活を送りながら支援を受けられる場

    施設入所支援:生活の全般をサポートする場


    3. どうすれば利用できるの?

    障害福祉サービスを利用するためには、以下の流れがあります。

    1. 市区町村の窓口に相談

    2. サービス等利用計画の作成(相談支援専門員がサポート)

    3. 障害福祉サービス受給者証の交付

    4. 事業所と契約して利用開始

    つまり「行政の認定」+「計画」+「契約」という流れです。


    4. 利用者の負担は?

    原則として 1割負担 ですが、収入によって上限額が定められています。

    低所得世帯では自己負担がほとんどかからないこともあります。


    5. まとめ

    障害福祉サービスは、

    • 「生活を助ける」

    • 「働くことを支える」

    • 「暮らしの場を提供する」

    といった幅広い支援を通じて、障害のある人が 地域で安心して暮らせること を目的としています。

    困ったときは、まず 市区町村の障害福祉課や相談支援事業所 に相談してみると良いでしょう。


    次回以降は、紹介してきた以下のサービスについて詳しく記事を書いていきます!

    生活介護

    居宅介護

    重度訪問介護

    短期入所(ショートステイ)

    就労支援

    自立訓練

    グループホーム

    施設入所支援

  • アンジェルマン症候群とは?特徴と支援のポイントを分かりやすく解説

    アンジェルマン症候群(Angelman Syndrome)は、発達や生活に特徴的な影響を与える先天性の神経発達障害です。比較的まれな症候群で、国内外で研究が進められているものの、まだ一般的にはあまり知られていません。この記事では、アンジェルマン症候群の特徴や原因、日常生活での支援について、分かりやすくご紹介します。


    アンジェルマン症候群の特徴

    アンジェルマン症候群は、乳幼児期から次のような特徴が見られることがあります。

    • 発達の遅れ:首のすわりや歩行などの運動発達がゆっくり進みます。

    • 言葉の遅れ:発語がほとんど見られない場合も多く、言語表出が難しいことがあります。

    てんかん発作:小児期に発作が起きやすい特徴があります。

    • バランスや動作のぎこちなさ:歩行が不安定で、よく転びやすいといった運動面の課題もあります。

    • 明るい表情と笑顔:笑顔が多く、周囲に「天使のよう」と表現されることも。これが「アンジェルマン」という名称の由来になっています。


    原因について

    アンジェルマン症候群は、15番染色体の一部(母由来の遺伝子)の異常が原因で起こります。

    • 遺伝子の欠失

    • 遺伝子の働きのスイッチ異常

    • まれに父方の染色体の影響

    といった遺伝的な要因によって、脳の発達や働きに影響が出ます。


    日常生活での支援のポイント

    アンジェルマン症候群を持つ方は、発達や身体機能の面でサポートが必要になることがあります。しかし、適切な支援によって、その人らしい生活を送ることができます。

    1. コミュニケーション支援

    言葉が出にくいため、絵カード、ジェスチャー、タブレット端末を使った支援が有効です。

    2. 医療との連携

    てんかんの発作や睡眠障害が見られることがあるため、小児科や神経科との連携が欠かせません。

    3. 日常生活の工夫

    • 転びやすいため安全な環境づくり

    • 睡眠のリズムを整える支援

    • 好奇心を伸ばす遊びや活動の工夫

    など、生活の場に合わせた支援が大切です。

    4. 家族や周囲の理解

    「よく笑う明るい子」と見られる一方で、本人の困難さが見過ごされることもあります。障害の特性を理解し、本人の努力や特性を受け止める姿勢が求められます。


    社会で広がるサポートの輪

    アンジェルマン症候群はまれな疾患ですが、国内外に親の会や支援団体があり、情報交換やサポートの場が広がっています。インターネットを通じて経験を共有できるコミュニティも増えており、孤立せずに支え合える仕組みが整いつつあります。


    まとめ

    アンジェルマン症候群は、

    • 運動や言語の発達に課題がある

    • てんかんや睡眠障害など医療的ケアが必要な場合もある

    • 笑顔が多く明るい表情が特徴的

    という特性を持つ症候群です。支援の工夫と周囲の理解があれば、その人らしく豊かな生活を送ることができます。

    「知ること」は支援の第一歩です。この記事を通じて、少しでもアンジェルマン症候群への理解が広がれば幸いです。

  • 障害者雇用制度とは?働き方を支える仕組みと現状

    障害のある人が社会の一員として働き、生活の基盤を築くためには、雇用の場が欠かせません。その仕組みを法律で定めているのが 「障害者雇用制度」 です。

    今回は、制度の概要や目的、現状の課題について解説します。


    1. 障害者雇用制度の目的

    障害者雇用制度は、障害のある人が社会で自立した生活を送れるよう、働く機会を確保することを目的としています。

    背景には、障害があることで就職や職場定着が難しい現実があり、「平等な就労の機会」を保障するために法制度が整えられてきました。


    2. 法的根拠:「障害者雇用促進法」

    障害者雇用制度の基盤は 障害者雇用促進法(1960年制定、以降改正を重ねている)です。

    この法律では、以下の内容が定められています。

    • 事業主には一定割合の障害者を雇用する義務(法定雇用率)がある

    • 雇用義務に違反した場合、納付金を支払う仕組み

    • 障害者を雇用した企業には助成金や支援制度あり

    • 障害者が安心して働ける職場環境整備を推進


    3. 法定雇用率とは?

    企業や官公庁には「全労働者のうち一定割合以上を障害者にする」という雇用義務が課されています。

    • 民間企業:2.5%(2024年度現在、今後段階的に引き上げ予定)

    • 国・地方公共団体:2.8%

    • 教育委員会:2.5%

    例えば、従業員100人の会社であれば、2〜3人の障害者を雇用する必要があります。


    4. 障害者雇用の形態

    雇用のスタイルは多様で、一人ひとりの特性に応じた働き方が可能です。

    • 一般企業での雇用(オープン就労)

    • 特例子会社での雇用(大企業が障害者雇用を進めるために設立する子会社)

    • 福祉サービスを活用した就労(就労継続支援A型・B型事業所など)


    5. 支援の仕組み

    障害者が職場で安心して働けるよう、さまざまな支援制度があります。

    • ハローワークの専門援助部門(障害者専門の職業相談)

    • 障害者就業・生活支援センター:就労と生活を一体的にサポート

    • ジョブコーチ支援:職場に入り、働き方や人間関係の調整を支援

    • 助成金制度:設備改善や雇用継続のために事業主が利用可能


    6. 現状と課題

    • 障害者雇用者数は年々増加しており、2023年には過去最高を更新

    • しかし、中小企業での雇用が進みにくい現状がある

    • 「雇用率を満たすためだけの採用」にとどまるケースもある

    • 職場定着支援やキャリアアップの仕組みがまだ不足している


    まとめ

    • 障害者雇用制度は「障害者雇用促進法」に基づき、法定雇用率の達成を義務づけている

    • 働き方は一般企業・特例子会社・就労支援事業所など多様

    • 就労支援や助成金制度が整備されているが、職場定着や質の確保が課題

    障害者雇用は「法律で決められているから」だけではなく、社会の多様性を広げ、企業にとっても新しい力を得られる仕組みです。これからは「数の確保」から「働きやすさの確保」へと視点を広げることが求められています。

  • 障害者総合支援法とは?制度の目的とサービス内容をわかりやすく解説

    日本には、障害のある人が地域で安心して暮らしていくための仕組みとして、障害者総合支援法という法律があります。

    この制度は、障害のある人の生活を支えるために幅広いサービスを提供しており、福祉・医療・就労などを包括的にカバーしているのが特徴です。


    1. 障害者総合支援法の背景と目的

    もともと日本の障害福祉は、「身体障害者福祉法」「知的障害者福祉法」「精神保健福祉法」など、それぞれの障害ごとに制度が分かれていました。

    しかし、これでは横断的な支援が難しく、「障害の種類や原因にかかわらず利用できる仕組み」が求められました。

    そこで2013年に施行されたのが 障害者総合支援法 です。

    目的:

    • 障害のある人が自分らしく地域で暮らせるように支援する

    • 必要な福祉サービスを一元的に提供する

    • 医療・就労・地域生活をつなぐ包括的な仕組みをつくる


    2. 対象となる人

    障害者総合支援法の対象は幅広く、

    • 身体障害

    • 知的障害

    • 精神障害(発達障害を含む)

    • 難病等(対象疾病が定められている)

    「障害の種類」にとらわれず、支援が必要な人が対象となっています。


    3. 利用できる主なサービス

    障害者総合支援法では、大きく分けて「自立支援給付」と「地域生活支援事業」があります。

    (1)自立支援給付

    個人のニーズに応じて利用できるサービス。

    • 介護給付:生活介護短期入所重度訪問介護など

    • 訓練等給付:就労移行支援、就労継続支援A型・B型自立訓練など

    共同生活援助(グループホーム):地域での共同生活を支援

    (2)地域生活支援事業

    市区町村や都道府県が地域の実情に応じて行う事業。

    移動支援(外出の支援)

    • コミュニケーション支援(手話通訳など)

    • 日常生活用具の給付 など


    4. 利用の流れ

    障害者総合支援法のサービスを利用するには、以下のステップがあります。

    1. 市区町村の窓口に相談・申請

    2. サービス等利用計画の作成(相談支援専門員が関わる)

    3. 市区町村による審査・支給決定

    4. 事業所との契約・サービス利用開始

    契約制度になっており、利用者本人の選択が重視されています。


    5. 制度の特徴と課題

    特徴

    • 障害種別を超えて一元的に支援

    • 就労・生活・医療をトータルに支える

    • 利用者の自己決定を尊重

    課題

    • 地域によるサービス格差

    • 人材不足(特に福祉人材の確保)

    • 制度の分かりにくさ


    まとめ

    • 障害者総合支援法は、障害の種類や原因にかかわらず利用できる包括的な支援制度

    • 介護・就労・生活・地域支援など幅広いサービスがある

    • 利用者の自己決定を重視しながらも、地域格差や人材不足といった課題もある

    この法律は、障害のある人が「地域で自分らしく生きる」ことを支えるための基盤です。制度を正しく知り、活用することが、本人や家族の安心につながります。


    次回は「障害者雇用制度」について、制度の背景から仕組み、現状の課題までわかりやすくまとめました。今回の「障害者総合支援法」とつなげて読むと、「生活支援」から「社会参加・就労」への流れが理解できる構成になっています。

    (さらに…)
  • 障害者手帳の種類と利用できる制度とは?

    障害を持つ方やその家族にとって、生活を支える大きな仕組みのひとつが「障害者手帳」です。

    手帳を持つことで、医療・福祉サービスの利用や生活上の支援、割引制度などが受けられます。今回は、3種類の障害者手帳についてわかりやすく紹介します。


    1. 身体障害者手帳

    身体障害者手帳は、視覚・聴覚・肢体・内部臓器などの身体機能に障害がある方に交付されます。

    • 対象:視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、心臓・腎臓・呼吸器などの内部障害

    • 等級:1級〜6級(障害の程度によって区分)

    主な支援:

    • 医療費助成

    • 公共交通機関の割引

    • 税制上の優遇(所得税・住民税控除など)

    • 介護サービスの利用


    2. 療育手帳

    療育手帳は、知的障害がある方に交付される手帳です。

    自治体によって名称や区分が異なる場合があります。

    • 対象:知的障害のある方(18歳未満・成人ともに対象)

    • 等級:軽度〜最重度(自治体ごとに区分名称が異なることも)

    主な支援:

    福祉サービス(生活介護・就労支援など)の利用

    • 公共料金や交通機関の割引

    • 税制上の優遇

    • 医療費助成


    3. 精神障害者保健福祉手帳

    精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患がある方に交付されます。

    • 対象:統合失調症、うつ病、双極性障害、不安障害、発達障害による二次的な精神症状など

    • 等級:1級〜3級

    主な支援:

    • 所得税・住民税の控除

    • 交通機関や公共施設の割引

    • 障害者雇用枠での就労支援

    • 自立支援医療制度の利用


    4. 手帳を持つメリット

    障害者手帳を持つことで、本人や家族の生活を支える制度にアクセスしやすくなります。

    • 経済的な支援(医療費助成、税控除、割引制度)

    • 社会参加の促進(交通機関の利用、文化施設の割引など)

    就労支援や生活支援サービスにつながる

    「自分の障害は対象になるのか?」という点については、医師の診断や市区町村の窓口で確認することが大切です。


    まとめ

    • 身体障害者手帳:視覚・聴覚・肢体・内部障害に対応

    • 療育手帳:知的障害に対応

    • 精神障害者保健福祉手帳:精神疾患に対応

    • 手帳を持つことで、医療費助成・福祉サービス・割引制度など幅広い支援が受けられる

    障害者手帳は「本人の生活の質を高めるためのパスポート」とも言えます。支援を受けることにためらいを感じる方もいますが、制度を活用することは自立や社会参加につながる大切な一歩です。