カテゴリー: 制度

  • 障害福祉サービスを利用する流れまとめ~障害支援区分・受給者証・サービス等利用計画~

    障害のある方やそのご家族が福祉サービスを利用しようとするとき、必ず登場するのが

    障害支援区分」、「受給者証」、「サービス等利用計画」 の3つです。

    一見すると難しそうですが、実は「順番にステップを踏んでいく仕組み」になっています。

    この記事では、その全体像を整理してご紹介します。


    1. ステップ① 障害支援区分の認定

    最初に必要なのは「どれくらいの支援が必要か」を判定してもらうことです。

    • 区分は 1~6 まで(数字が大きいほど支援が必要)

    • 市町村の調査員による聞き取りや、主治医の意見書をもとに決定

    • この結果が、その後利用できるサービス量の基準になります

    👉 ここで「どのくらいサービスを使えるかの枠」が決まるイメージです。


    2. ステップ② 受給者証の交付

    障害支援区分が決まったら、市町村から 「受給者証」 が交付されます。

    • 利用できるサービスの種類(例:居宅介護、生活介護など)

    • 利用できる回数や時間(支給量)

    • 自己負担の上限額

    が記載されていて、これをサービス事業所に提示することで、正式に利用できるようになります。

    👉 受給者証は「サービス利用のパスポート」です。


    3. ステップ③ サービス等利用計画の作成

    受給者証をもらったら、次は「どんなサービスを、どのように使うか」を決める段階です。

    • 相談支援専門員 が中心となり、本人や家族の希望を聞いて計画を立てる

    • サービスを組み合わせて「暮らしの設計図」を作成

    • 定期的に見直しを行い、状況に合わせて更新できる

    👉 サービス等利用計画があることで、必要な支援を過不足なく受けられるようになります。


    4. 全体の流れをまとめると…

    1. 障害支援区分 … どれくらい支援が必要かを判定

    2. 受給者証 … 利用できるサービスの種類・量を決定

    3. サービス等利用計画 … 実際の暮らしに合わせた利用プランを作成

    この3つがそろうことで、安心して福祉サービスを利用できるようになります。


    5. まとめ

    障害福祉サービスの利用は、一人で進めようとすると難しく感じるかもしれません。

    ですが、実際には市町村の障害福祉課や、相談支援専門員がしっかりサポートしてくれます。

    「サービスを使ってみたいけれど、どうしたらいいかわからない」

    そんなときは、まず お住まいの市町村の窓口や相談支援事業所に相談すること から始めてみましょう。


    それぞれを詳しく書いている記事もありますので参考にしてみて下さい。

    障害支援区分

    受給者証

    サービス等利用計画

  • サービス等利用計画とは?生活に合わせた支援プラン

    1. サービス等利用計画とは?

    実際にどんなサービスを、どのくらい利用するかをまとめた 計画書 です。

    介護保険の「ケアプラン」にあたります。


    2. 誰が作るの?

    • 基本は 相談支援専門員 が本人・家族と話し合って作成

    • 子どもの場合は「障害児支援利用計画」という名称になる


    3. 計画に書かれること

    • 本人の生活の目標(例:日中の活動を増やしたい、就労を目指したい)

    • 利用するサービスの種類と回数

    • サービス事業所の名前や利用日数

    • 支援の方向性(自立や家族の負担軽減など)


    4. どう役立つの?

    • サービスが本人の希望に沿ったものになる

    • 複数の事業所を組み合わせるときに調整がスムーズ

    • 定期的に見直しがあり、生活の変化に合わせて更新できる


    5. まとめ

    サービス等利用計画は「その人らしい生活を支えるための設計図」です。

    本人や家族の声を大切にしながら作ることで、無理なく安心してサービスを利用できるようになります。


    こちらの記事も合わせて読んで頂くと全体像が見えやすくなります。

    障害福祉サービスを利用する流れまとめ~障害支援区分・受給者証・サービス等利用計画~

  • 受給者証とは?サービス利用に欠かせない「パスポート」

    1. 受給者証とは?

    障害福祉サービスを使うときに必要な「利用券」のようなものです。

    正式には 障害福祉サービス受給者証 と呼ばれ、市町村が交付します。


    2. 受給者証に書かれている内容

    • 利用できるサービスの種類(居宅介護生活介護短期入所など)

    • 支給量(何日・何時間利用できるか)

    • 自己負担の上限額(所得に応じて1割負担、上限あり)


    3. 受給者証をもらう流れ

    1. 市町村の障害福祉課に申請

    2. 障害支援区分の認定調査を受ける

    3. 必要に応じてサービス等利用計画を作成

    4. 市町村が支給決定 → 受給者証が交付される


    4. 受給者証の役割

    • これがないと事業所でサービスを利用できない

    • サービス内容や量を確認する公式な書類になる


    5. まとめ

    受給者証は障害福祉サービス利用の「パスポート」です。

    まずは市町村に相談して申請し、必要なサービスが書かれた受給者証を手に入れることが利用のスタートラインになります。


    こちらの記事も合わせて読んで頂くと全体像が見えやすくなります。

    障害福祉サービスを利用する流れまとめ~障害支援区分・受給者証・サービス等利用計画~

  • 障害支援区分とは?わかりやすく解説

    1. 障害支援区分とは?

    障害のある方が福祉サービスを利用するときに、その人に どれくらい支援が必要か を示すものです。

    介護保険の「要介護度」と似た仕組みで、サービス利用の基準になります。


    2. 区分の種類

    • 区分は 1~6 まで(数字が大きいほど支援が必要)

    • 区分なし(非該当)の場合はサービス対象にならないこともある


    3. 判定の方法

    市町村が行う「認定調査」と、主治医が書く「意見書」に基づいて判定されます。

    • 調査員が本人や家族に聞き取りをして日常生活の様子を確認

    • 医師が障害の状況を記載した意見書を作成

    • コンピュータ判定+審査会で最終決定


    4. 障害支援区分の役割

    • 利用できるサービス量の目安になる

    • サービスの必要性を客観的に示す証拠になる


    5. まとめ

    障害支援区分は「どれくらい支援が必要か」を示す基準です。

    サービスを利用する入口となる大切な仕組みなので、まずは正しく認定を受けることが第一歩になります。


    こちらの記事も合わせて読んで頂くと全体像が見えやすくなります。

    障害福祉サービスを利用する流れまとめ~障害支援区分・受給者証・サービス等利用計画~

  • 福祉の世界における「身体拘束適正化」とは?~人権を守りながら安心・安全な支援を目指す~

    1. 身体拘束とは何か

    介護や福祉の現場でいう「身体拘束」とは、利用者の行動を制限し、自由を奪う行為を指します。

    代表的な例としては、

    • ベッドから落ちないように手足を縛る

    • 転倒を防ぐために車椅子や椅子にベルトで固定する

    • 徘徊を防ぐために居室や施設の出入りを制限する

    といった行為があります。

    一見すると「安全のため」と思えるかもしれませんが、利用者の人権を大きく制限する行為であり、心身に大きな負担を与えるリスクがあるため、原則として禁止されています。


    2. 身体拘束が禁止されている理由

    (1) 人権の尊重

    身体拘束は「その人らしく生きる自由」を奪います。尊厳を重んじる福祉の理念に反するため、介護保険法や障害者総合支援法に基づくガイドラインでも禁止が明記されています。

    (2) 身体・心理的な悪影響

    • 筋力低下や褥瘡(床ずれ)の発生

    • 不眠や意欲の低下

    • 強い不安や恐怖心、抑うつ症状

    などが報告されています。

    (3) 福祉現場の信頼性

    身体拘束は「虐待」と捉えられる場合があり、利用者や家族、地域社会からの信頼を大きく損ないます。


    3. 例外的に認められる場合

    完全にゼロにすることが難しい状況も存在します。厚生労働省は「やむを得ない場合」として、次の 3つの要件 を満たした場合のみ身体拘束を認めています。

    1. 切迫性:利用者本人や他者の生命や身体が危険にさらされる可能性が高い

    2. 非代替性:他に方法がなく、どうしても拘束以外に安全を守る手段がない

    3. 一時性:拘束は必要最小限の時間に限られ、すぐに解除を検討する

    つまり「最後の手段」としてのみ認められるものです。


    4. 身体拘束適正化のための取り組み

    福祉現場では「身体拘束ゼロ」を目指す取り組みが進められています。そのポイントは以下の通りです。

    • リスクアセスメント:転倒や徘徊のリスクを事前に評価し、本人の状態に合った支援方法を考える

    • 環境の工夫:ベッドの高さ調整、見守りセンサーの導入、居室の配置変更など

    • ケアの工夫:声かけやスキンシップを増やす、日中の活動量を確保して夜間の安眠を促す

    • 職員の意識改革:研修や事例検討会を通して「本当に必要か?」を常に問い直す


    5. 家族や地域に求められる理解

    身体拘束をしない支援は、職員だけでなく家族や後見人、地域の理解も不可欠です。

    「転倒が心配だから縛ってほしい」といった要望は一見合理的に思えますが、長期的には本人に不利益をもたらします。

    福祉の現場と家族が「安全」と「尊厳」の両立を一緒に考えていくことが大切です。


    まとめ

    身体拘束適正化とは、「利用者の命を守ること」と「その人らしく生きる権利を守ること」を両立させる取り組みです。

    「安全のためだから仕方ない」と思われていた時代から、「どうすれば拘束をしないで済むのか」を考える時代へと変わってきています。

    福祉に関わる私たち一人ひとりが、「その人の尊厳を守るために何ができるか」を常に問い直すことが、真の意味での身体拘束適正化につながります。

  • 強度行動障害とは?~支援が必要な“行動の困難さ”を理解する~

    1. 強度行動障害とは

    強度行動障害とは、知的障害自閉症スペクトラム障害などを持つ人の中で、日常生活に強い困難をもたらす行動上の特徴が見られる状態を指します。

    単なる「困った行動」ではなく、本人の安心・安全や周囲の生活にも大きな影響を与えるため、専門的な支援が必要とされています。


    2. 具体的にどんな行動?

    強度行動障害には、次のような行動が含まれることが多いです。

    • 自傷行為:頭を叩く、皮膚をかきむしる、噛む など

    • 他害行為:人を叩く、物を壊す、強く押す など

    • 常同行動:同じ動作を繰り返す、物を並べ続ける など

    • パニック行動:大声を出す、急に走り出す、暴れる など

    • 著しい拒否行動:食事や着替えを強く拒否する、移動を嫌がる など

    👉 これらは本人が「つらさ」や「不安」「感覚の過敏・鈍麻」を表現しているサインとも考えられます。


    3. なぜ起こるの?

    強度行動障害は、本人の特性や環境との相互作用の中で現れます。

    背景には次のような要因が重なっていることが多いです。

    • コミュニケーションの困難

    → 言葉で伝えられず、行動で気持ちを表している

    • 感覚過敏・感覚鈍麻

    → 音や光に過敏、または痛みを感じにくいなど

    • 生活リズムの乱れや環境の変化

    → 予定の変更や人混みが苦手

    • ストレスや不安

    → 頼れる人がいない、理解されない不安


    4. 支援の考え方

    強度行動障害のある方に対しては、行動そのものを「抑え込む」のではなく、行動の背景を理解し、安心して暮らせる環境を整えることが大切です。

    主な支援のポイント

    • 原因やきっかけを分析する

    (行動が起きる前の状況・環境を記録する)

    • 安心できる環境づくり

    (静かな場所、予測可能なスケジュール)

    • コミュニケーション手段を増やす

    (絵カード、ジェスチャー、ICTの活用)

    • 本人の強みや好きな活動を活かす

    (音楽や運動など安心できる活動を取り入れる)

    • 専門職や支援制度の活用

    行動援護短期入所、強度行動障害支援者養成研修を受けたスタッフの配置)


    5. 社会の取り組み

    日本では、強度行動障害のある方への支援を広げるために、以下のような制度や研修があります。

    • 強度行動障害支援者養成研修

    → 支援者が専門的な知識・技術を学ぶための研修

    行動援護サービス

    → 外出時の安全確保や日常生活の支援を行う制度

    • 地域生活支援拠点

    → 緊急時や在宅支援の受け皿になる仕組み


    まとめ

    • 強度行動障害とは、日常生活に強い影響を与える行動上の困難さを持つ状態。

    • 背景には「伝えたい気持ち」や「感覚特性」が隠れていることが多い。

    • 支援は「行動を抑える」よりも「安心できる環境づくり」と「理解」が重要。

    • 専門的な研修や制度が整いつつあり、地域で暮らすための支えが広がっている。

  • ガイドヘルパーと行動援護サービスとは?~外出のサポートと安全を支える福祉サービス~

    1. ガイドヘルパー(移動支援)とは

    ガイドヘルパーとは、障害のある方が安全に外出できるようにサポートする「移動支援」のサービスを行うヘルパーのことです。

    障害の特性や体の状況に応じて、外出時に付き添い、安心して地域での生活を送れるように支えます。

    主な支援内容

    • 買い物や役所への手続きの付き添い

    • 病院への通院サポート

    • 公共交通機関の利用のサポート(電車・バスなど)

    • 趣味・社会参加の外出(映画館、スポーツ観戦、習い事など)

    対象となる方

    • 視覚障害のある方(道案内や段差の注意などが必要な場合)

    • 肢体不自由のある方(車いす利用者など)

    知的障害や精神障害があり、外出時に見守りや支援が必要な方

    「地域で安心して過ごすための生活支援」がガイドヘルパーの役割です。


    2. 行動援護とは

    行動援護は、知的障害や精神障害などにより「自分ひとりでの行動に危険が伴う方」への専門的な外出支援サービスです。

    ガイドヘルパーと似ていますが、より専門的で「安全確保」や「行動の理解」に力を入れている点が特徴です。

    主な支援内容

    • 外出先での事故や迷子を防ぐための見守り・声かけ

    • 突発的な行動や危険行為への対応(急に走り出す、物に触るなど)

    • 交通機関や施設利用時の安全確保

    • 日常生活に必要な外出(買い物・通院など)や余暇活動への参加支援

    対象となる方

    強度行動障害のある方

    • 知的障害や発達障害により、外出時に常に安全確保が必要な方

    • 精神障害により混乱や危険が想定される方

    **「行動面でのリスクを理解し、専門的に対応する外出支援」**が行動援護の特徴です。


    3. ガイドヘルパーと行動援護の違い

    ガイドヘルパー(移動支援)

    対象:身体・知的・精神など幅広い

    主な目的:外出の支援・生活参加のサポート

    支援者:ガイドヘルパー(養成研修修了者)

    サポートの深さ:比較的日常的な支援

    行動援護
    対象:特に知的障害・精神障害で行動上のリスクがある方
    主な目的:外出時の安全確保・行動支援
    支援者:行動援護従業者(専門研修修了者)
    サポートの深さ:専門性が高く、リスク管理が必要


    4. 利用するには?

    これらのサービスは「障害福祉サービス」として自治体が提供しています。

    利用するには、次のような流れが一般的です。

    1. 市区町村の障害福祉課に相談

    2. サービス利用の申請(障害者手帳や診断書が必要な場合あり)

    3. ケアマネジャーや相談支援専門員と計画を立てる

    4. サービス事業所と契約し、利用開始


    まとめ

    • ガイドヘルパー(移動支援)は、外出の付き添いや日常生活の外出支援を行うサービス。

    • 行動援護は、外出時に行動のリスクがある方に対して、より専門的に安全を確保するサービス。

    • どちらも「地域で安心して生活するため」に大切な役割を持っています。

    外出に不安を感じている方やご家族は、まずは自治体や相談支援専門員に相談してみると良いでしょう。

  • 障害者手帳と等級のしくみをわかりやすく解説

    日本には、障害のある方が日常生活や社会参加をよりスムーズに行えるように「障害者手帳」という制度があります。手帳は3種類に分かれており、それぞれ対象や等級の仕組みが異なります。今回は、知的障害・身体障害・精神障害に関する手帳について、わかりやすくご紹介します。


    1. 障害者手帳とは?

    障害者手帳は、障害のある方が福祉サービスや各種割引を受けるための公的な証明書です。手帳を持つことで、医療や交通、税金などの面で支援が得られるほか、就労支援や福祉サービスを受けやすくなります。

    現在、大きく分けて以下の3種類があります。

    • 身体障害者手帳(身体障害のある方)

    • 療育手帳(知的障害のある方)

    • 精神障害者保健福祉手帳(精神障害のある方)


    2. 身体障害者手帳

    対象

    視覚・聴覚・音声言語機能・肢体不自由・心臓や腎臓などの内部障害など、身体に一定の障害がある方。

    等級

    • 1級〜6級(障害の程度が重いほど等級は低い番号になります)

    • 1級・2級:重度

    • 3級〜6級:中度〜軽度

    受けられる支援の例

    • 所得税や住民税の控除

    • 公共交通機関の割引

    • NHK受信料の減免

    • 福祉サービス利用(ホームヘルパー、日常生活用具の給付など)


    3. 療育手帳(知的障害)

    対象

    知的発達に遅れがあり、日常生活や社会生活において特別な支援を必要とする方。

    等級

    全国で統一されていませんが、多くの自治体では以下のように区分されています。

    • A(重度):生活全般にわたる支援が必要

    • B(中度・軽度):ある程度の自立は可能だが支援が必要

    (自治体によって「A1・A2」「B1・B2」とさらに細分化される場合があります)

    受けられる支援の例

    障害福祉サービスの利用

    • 公共交通機関の割引

    • 特別児童扶養手当、各種助成制度

    • 就労支援や生活支援サービス


    4. 精神障害者保健福祉手帳

    対象

    統合失調症、うつ病、双極性障害、不安障害、てんかんなど、長期にわたり日常生活や社会生活に支障をきたす精神障害のある方。

    等級

    • 1級:日常生活に常時介助が必要

    • 2級:日常生活や社会生活に著しい制約がある

    • 3級:社会生活に一定の制約がある

    受けられる支援の例

    • 所得税・住民税の控除

    • 医療費の助成(自立支援医療制度との併用)

    • 公共料金や交通機関の割引

    就労支援・職場での合理的配慮の対象


    5. 手帳の申請方法

    1. 医師の診断書を準備

    障害の種類に応じた指定医師の診断書が必要です。

    2. 市区町村の福祉窓口で申請

    写真・印鑑・診断書を持参して申請します。

    3. 審査を経て交付

    数か月後、手帳が交付されます。


    6. 手帳を持つメリットと注意点

    メリット

    • 経済的な負担が軽くなる

    • 生活や就労の支援が受けやすくなる

    • 社会参加の機会が広がる

    注意点

    • 等級や対象は医師の診断や自治体の判断によるため、更新時に変わることがあります。

    • 申請や利用には本人の意思確認が重視されます。


    まとめ

    障害者手帳は、障害のある方が安心して生活し、社会に参加するための大切な制度です。

    • 身体障害者手帳:1〜6級

    • 療育手帳(知的障害):重度〜軽度(A・B区分)

    • 精神障害者保健福祉手帳:1〜3級

    それぞれに応じたサポートがあり、手帳を取得することで生活の幅が広がります。もし申請を検討している場合は、まず自治体の福祉窓口や専門機関に相談してみることをおすすめします。

  • 障害者雇用制度とは?働き方を支える仕組みと現状

    障害のある人が社会の一員として働き、生活の基盤を築くためには、雇用の場が欠かせません。その仕組みを法律で定めているのが 「障害者雇用制度」 です。

    今回は、制度の概要や目的、現状の課題について解説します。


    1. 障害者雇用制度の目的

    障害者雇用制度は、障害のある人が社会で自立した生活を送れるよう、働く機会を確保することを目的としています。

    背景には、障害があることで就職や職場定着が難しい現実があり、「平等な就労の機会」を保障するために法制度が整えられてきました。


    2. 法的根拠:「障害者雇用促進法」

    障害者雇用制度の基盤は 障害者雇用促進法(1960年制定、以降改正を重ねている)です。

    この法律では、以下の内容が定められています。

    • 事業主には一定割合の障害者を雇用する義務(法定雇用率)がある

    • 雇用義務に違反した場合、納付金を支払う仕組み

    • 障害者を雇用した企業には助成金や支援制度あり

    • 障害者が安心して働ける職場環境整備を推進


    3. 法定雇用率とは?

    企業や官公庁には「全労働者のうち一定割合以上を障害者にする」という雇用義務が課されています。

    • 民間企業:2.5%(2024年度現在、今後段階的に引き上げ予定)

    • 国・地方公共団体:2.8%

    • 教育委員会:2.5%

    例えば、従業員100人の会社であれば、2〜3人の障害者を雇用する必要があります。


    4. 障害者雇用の形態

    雇用のスタイルは多様で、一人ひとりの特性に応じた働き方が可能です。

    • 一般企業での雇用(オープン就労)

    • 特例子会社での雇用(大企業が障害者雇用を進めるために設立する子会社)

    • 福祉サービスを活用した就労(就労継続支援A型・B型事業所など)


    5. 支援の仕組み

    障害者が職場で安心して働けるよう、さまざまな支援制度があります。

    • ハローワークの専門援助部門(障害者専門の職業相談)

    • 障害者就業・生活支援センター:就労と生活を一体的にサポート

    • ジョブコーチ支援:職場に入り、働き方や人間関係の調整を支援

    • 助成金制度:設備改善や雇用継続のために事業主が利用可能


    6. 現状と課題

    • 障害者雇用者数は年々増加しており、2023年には過去最高を更新

    • しかし、中小企業での雇用が進みにくい現状がある

    • 「雇用率を満たすためだけの採用」にとどまるケースもある

    • 職場定着支援やキャリアアップの仕組みがまだ不足している


    まとめ

    • 障害者雇用制度は「障害者雇用促進法」に基づき、法定雇用率の達成を義務づけている

    • 働き方は一般企業・特例子会社・就労支援事業所など多様

    • 就労支援や助成金制度が整備されているが、職場定着や質の確保が課題

    障害者雇用は「法律で決められているから」だけではなく、社会の多様性を広げ、企業にとっても新しい力を得られる仕組みです。これからは「数の確保」から「働きやすさの確保」へと視点を広げることが求められています。

  • 障害者総合支援法とは?制度の目的とサービス内容をわかりやすく解説

    日本には、障害のある人が地域で安心して暮らしていくための仕組みとして、障害者総合支援法という法律があります。

    この制度は、障害のある人の生活を支えるために幅広いサービスを提供しており、福祉・医療・就労などを包括的にカバーしているのが特徴です。


    1. 障害者総合支援法の背景と目的

    もともと日本の障害福祉は、「身体障害者福祉法」「知的障害者福祉法」「精神保健福祉法」など、それぞれの障害ごとに制度が分かれていました。

    しかし、これでは横断的な支援が難しく、「障害の種類や原因にかかわらず利用できる仕組み」が求められました。

    そこで2013年に施行されたのが 障害者総合支援法 です。

    目的:

    • 障害のある人が自分らしく地域で暮らせるように支援する

    • 必要な福祉サービスを一元的に提供する

    • 医療・就労・地域生活をつなぐ包括的な仕組みをつくる


    2. 対象となる人

    障害者総合支援法の対象は幅広く、

    • 身体障害

    • 知的障害

    • 精神障害(発達障害を含む)

    • 難病等(対象疾病が定められている)

    「障害の種類」にとらわれず、支援が必要な人が対象となっています。


    3. 利用できる主なサービス

    障害者総合支援法では、大きく分けて「自立支援給付」と「地域生活支援事業」があります。

    (1)自立支援給付

    個人のニーズに応じて利用できるサービス。

    • 介護給付:生活介護短期入所重度訪問介護など

    • 訓練等給付:就労移行支援、就労継続支援A型・B型自立訓練など

    共同生活援助(グループホーム):地域での共同生活を支援

    (2)地域生活支援事業

    市区町村や都道府県が地域の実情に応じて行う事業。

    移動支援(外出の支援)

    • コミュニケーション支援(手話通訳など)

    • 日常生活用具の給付 など


    4. 利用の流れ

    障害者総合支援法のサービスを利用するには、以下のステップがあります。

    1. 市区町村の窓口に相談・申請

    2. サービス等利用計画の作成(相談支援専門員が関わる)

    3. 市区町村による審査・支給決定

    4. 事業所との契約・サービス利用開始

    契約制度になっており、利用者本人の選択が重視されています。


    5. 制度の特徴と課題

    特徴

    • 障害種別を超えて一元的に支援

    • 就労・生活・医療をトータルに支える

    • 利用者の自己決定を尊重

    課題

    • 地域によるサービス格差

    • 人材不足(特に福祉人材の確保)

    • 制度の分かりにくさ


    まとめ

    • 障害者総合支援法は、障害の種類や原因にかかわらず利用できる包括的な支援制度

    • 介護・就労・生活・地域支援など幅広いサービスがある

    • 利用者の自己決定を重視しながらも、地域格差や人材不足といった課題もある

    この法律は、障害のある人が「地域で自分らしく生きる」ことを支えるための基盤です。制度を正しく知り、活用することが、本人や家族の安心につながります。


    次回は「障害者雇用制度」について、制度の背景から仕組み、現状の課題までわかりやすくまとめました。今回の「障害者総合支援法」とつなげて読むと、「生活支援」から「社会参加・就労」への流れが理解できる構成になっています。

    (さらに…)