カテゴリー: 心技体の心

  • 発達障害を持つ方と一緒に働く職場での工夫~多様性が力になる職場づくり~

    発達障害のある方が職場で力を発揮するためには、本人の努力だけではなく 周囲の理解や環境の工夫 が欠かせません。

    ここでは、職場で実践できるサポートの工夫を紹介します。


    1. わかりやすい指示・情報共有

    発達障害のある方は「曖昧な表現」が苦手な場合があります。

    工夫のポイント

    • 「なるべく早く」ではなく「17時までに」と期限を明確にする

    • 口頭だけでなく、メモやメールで残す

    • 複雑な業務は手順書を作り、誰でも確認できるようにする


    2. 作業環境の調整

    集中力や感覚の特性に合わせた環境づくりが効果的です。

    工夫のポイント

    • 静かな場所で作業できるスペースを確保する

    • デスク周りを整理し、必要な物の場所を固定する

    • 時間割や進捗を「見える化」して、安心して作業できるようにする


    3. 業務の進め方の工夫

    仕事の割り振り方を工夫することで、本人の得意を活かしやすくなります。

    工夫のポイント

    • 大きな業務は小さなステップに分けて提示する

    • 得意な作業を担当できるように調整する

    • 短時間で区切って取り組み、適度に休憩を入れる


    4. コミュニケーションの工夫

    対人関係で疲れやすい方も多いため、無理なく関われる仕組みが必要です。

    工夫のポイント

    • 感情的な言葉よりも、事実をベースに伝える

    • フィードバックは「できている点」→「改善点」の順で伝える

    • 雑談や飲み会の参加を強制しない


    5. サポート体制の整備

    本人や同僚だけでなく、職場全体が安心できる体制があると働きやすくなります。

    工夫のポイント

    • 定期的な面談で困りごとを共有する

    • 「相談できる人」を明確にしておく

    • 就労支援機関や産業医と連携する


    まとめ

    発達障害を持つ方と働く上で大切なのは、「特別扱い」ではなく「多様な働き方のひとつ」として受け入れる姿勢です。

    小さな工夫によって本人の力が発揮されるだけでなく、職場全体の働き方やコミュニケーションの質も向上します。

    発達障害の方が安心して働ける環境づくりは、結果的に 誰もが働きやすい職場づくり につながるのです。

    次回は「発達障害に関する誤解や偏見をなくすための社会全体での取り組み」について紹介します!

    (さらに…)
  • 発達障害のある方の強みや得意なこと ~個性を活かす社会へ~

    発達障害という言葉を聞くと、多くの人は「困りごと」「苦手さ」といった側面を思い浮かべるかもしれません。

    しかし、その裏側には ユニークな強みや得意分野 が隠されています。今回は、発達障害の方が持つポジティブな側面に目を向けてみましょう。


    1. 自閉スペクトラム症(ASD)の強み

    ASDの方は、こだわりや集中力の高さが特徴です。

    強みの例

    • 興味のある分野を深く掘り下げる探究心

    • 細部に気づく観察力

    • 一定のルールや手順を忠実に守れる正確さ

    研究職やIT分野、設計・デザインなどで力を発揮する人も少なくありません。


    2. 注意欠如・多動症(ADHD)の強み

    ADHDの方は、エネルギッシュでアイデア豊富な一面があります。

    強みの例

    • 新しい発想やアイデアを次々に生み出せる創造力

    • 興味のあることに対して爆発的な集中力(ハイパーフォーカス)

    • 行動力があり、挑戦を恐れない

    クリエイティブ分野や営業・企画など、人と関わりながら動く仕事で力を発揮することがあります。


    3. 学習障害(LD)の強み

    LDの方は特定の学習分野に困難がある一方で、他の能力が優れていることもあります。

    強みの例

    • 視覚的・感覚的な表現力に優れる(アート、音楽、デザインなど)

    • 直感的に理解する力

    • 独自の発想方法を持ち、柔軟なアイデアを出せる

    歴史上の偉人や芸術家の中にもLDを持っていたとされる人が多くいます。


    4. グレーゾーンの方の強み

    診断がつかない「グレーゾーン」の方も、柔軟に社会に適応しながら自分の特性を活かしているケースが多いです。

    強みの例

    • 状況に応じてバランスを取る適応力

    • 自分の困りごとを工夫で乗り越えてきた経験からの問題解決力

    • 視点の多様さから、人の気持ちに寄り添える優しさ


    5. 強みを活かすために大切なこと

    発達障害の方の強みは、理解と環境次第で大きな力に変わります。

    • 苦手なことを無理に克服するよりも、得意なことを伸ばす

    • 周囲が「困難さ」だけに注目せず、強みに目を向ける

    • 本人が自分の特性を理解し、安心して力を発揮できる環境を整える


    まとめ

    発達障害は「欠けているもの」ではなく、異なる才能の表れ方です。

    社会が多様性を受け入れ、個性を尊重することで、誰もが自分らしく生きられる未来が広がります。

    発達障害のある方の強みを活かすことは、本人にとってだけでなく、私たち社会全体にとっても大きな可能性を秘めているのです。

    次回は「発達障害を持つ方と一緒に働く職場での工夫」について紹介します!

    (さらに…)
  • 発達障害を持つ方への具体的なサポート方法 ~日常でできる小さな工夫~

    前回の記事では「発達障害とグレーゾーン」について紹介しました。今回は一歩進んで、発達障害を持つ方への具体的なサポート方法について考えていきます。

    サポートといっても特別なことではなく、小さな工夫や配慮の積み重ねが大きな安心につながります。


    1. コミュニケーションの工夫

    発達障害のある方の中には、会話や相手の気持ちを理解するのが難しい人もいます。

    サポートのポイント

    • 曖昧な表現ではなく、具体的に伝える

    (例:「あとでやって」ではなく「15時になったらこのプリントを提出してね」)

    • 一度に多くを伝えず、短く区切って話す

    • 表情やジェスチャーを添えて伝えると理解しやすい


    2. 環境の調整

    発達障害の方は、音や光、匂いに敏感な場合があります。

    サポートのポイント

    • 静かな場所で集中できる環境を整える

    • 整理整頓しやすい収納方法を一緒に考える

    • 時間割や予定を見える化する(カレンダー、チェックリストなど)


    3. 学習や仕事の工夫

    学習や仕事での「困りごと」には、ちょっとしたツールや仕組みが有効です。

    サポートのポイント

    • 大きな課題は小さなステップに分ける

    • タイマーやアラームを活用して時間管理をサポート

    • ITツール(リマインダー、タスク管理アプリ)を活用する


    4. 感情面のサポート

    発達障害のある方は、失敗体験や周囲からの誤解で自己肯定感が低くなりやすい傾向があります。

    サポートのポイント

    • 「できたこと」に注目して褒める

    • 感情が高ぶったときは無理に話させず、落ち着ける時間や場所を用意する

    • 「あなたのせい」ではなく「やり方を変えてみよう」という声かけを意識する

    5. 支援制度や専門機関の活用

    家族や周囲だけで抱え込まず、専門機関を利用することも大切です。

    • 発達障害者支援センター

    • 医療機関(発達外来・精神科)

    • 就労移行支援や相談支援事業所

    • 学校の特別支援教育コーディネーター

    こうした機関を活用することで、本人や家族の負担を軽減できます。


    まとめ

    発達障害のある方へのサポートは、「特別扱い」ではなく「その人が力を発揮しやすい環境を整える」ことです。

    小さな工夫や声かけの積み重ねが、本人の自信を育み、安心して生活できる社会につながります。

    次回は「発達障害の方が持つ強みや得意なこと」に焦点を当てたポジティブな視点でのブログ記事です!

    (さらに…)
  • 発達障害とグレーゾーンとは?~誰もが自分らしく生きられる社会へ~

    発達障害とは

    発達障害とは、生まれつきの脳の発達の特性によって、社会生活やコミュニケーション、学習などに困難を感じやすい状態を指します。代表的なものには以下があります。

    自閉スペクトラム症(ASD)

    コミュニケーションや対人関係の難しさ、こだわりの強さが特徴。

    注意欠如・多動症(ADHD)

    集中が続かない、不注意、衝動的な行動、多動といった傾向。

    学習障害(LD)

    読む・書く・計算するなど、特定の学習分野に強い困難がある。

    発達障害は「できる・できない」の問題ではなく、脳の特性の現れ方です。そのため、支援や環境の工夫によって本人の力を発揮できることが多くあります。


    「グレーゾーン」とは

    発達障害と診断されるほどではないものの、日常生活や学校・仕事で困りごとが多い状態を「グレーゾーン」と呼ぶことがあります。

    たとえば、

    • テストでは良い点を取れるけれど、忘れ物が多く生活が乱れがち

    • 人との会話はできるけれど、集団行動になると極端に疲れてしまう

    • 「努力不足」と見られてしまいがちだが、実は特性の影響

    といったケースです。

    グレーゾーンの方は「診断がつかないから支援を受けにくい」という課題もあります。しかし、支援や配慮があれば大きく生活が改善されることも少なくありません。


    誰もが過ごしやすい環境づくり

    発達障害やグレーゾーンの有無にかかわらず、人はそれぞれ得意・不得意があります。大切なのは「困りごとを本人の努力不足にせず、環境の側で工夫すること」です。

    • 学校では

    → 座る位置や学習方法を調整する

    • 職場では

    → メモやスケジュール管理のツールを活用する

    • 家庭では

    → 本人が安心できる生活リズムを一緒に整える

    こうした小さな工夫が、その人の自信や可能性を大きく広げます。


    まとめ

    発達障害やグレーゾーンは「特別な人の問題」ではなく、多様な個性の一部です。社会全体が理解を深め、誰もが自分らしく生きられる環境を整えていくことが大切です。

    困りごとに直面している本人や家族にとっても、まずは「ひとりで抱え込まないこと」が第一歩。学校や職場の支援窓口、専門機関に相談することで、新しい解決の糸口が見つかるかもしれません。

    次回は、紹介します!

    (さらに…)
  • 心技体の心について

    心技体の心について

    はじめまして、赤嶺圭一朗です!

    この度、対人援助を学べるブログ「福祉道」を開設しました。

    私は沖縄県で生ま育ち、幼少の頃から自然豊かな土地で過ごしました。沖縄は自然豊かで人も温かい場所なのでぜひ行ってみて頂きたいです。

    また、高校卒業後に上京し、大学在学中から重症心身障害児(者)と呼ばれる重度の知的障害および重度の肢体不自由が重複している状態にある方々の支援に約10年間携わっていました。成功体験から失敗体験まで、そこで得た支援の知識とノウハウを独自の視点を交えて分かりやすくお伝え出来ればと思います。

    詳しい自己紹介はこちらの記事に書きましたので読んで頂ければと思います。

    福祉道の心得は以下の3つです。

    対人援助職である

    エッセンシャルワーカーである

    心技体の備わった人間力が大切である

    ※福祉道の心得の概要はこちらの記事にまとめていますので合わせて読んで頂けたらと思います。

    福祉道の心得の3つ目「心技体の備わった人間力が大切である」で言われるように、人間力を磨くには心技体を兼ね備えることが重要です。対人援助職であり、エッセンシャルワーカーでもある福祉の仕事においては、この心技体を整えた状態で臨んでいくことが求められます。

    心技体とは

    心技体とは心(精神力)、技(技術力)、体(体力)の3つの要素がバランスよく調和している状態を指す言葉です。特に武道やスポーツの世界でよく使われますが、ビジネスや日常生活においても、この3つの要素のバランスが重要であるとされています。

    それぞれの要素について詳しくお話しをしていきます。

    ①心

    精神力、意思、集中力、モチベーション、平常心など、精神的な強さや状態を表します

    ②技

    技術、スキル、知識、経験など、具体的な行動やパフォーマンスの質に関わる要素を表します

    ③体

    体力、身体能力、健康状態など、肉体的な要素を表します

    これらの3要素がバランスよく発達している状態が、最高のパフォーマンスを発揮できる状態であると考えられています。例えば、武道においては、強い精神力(心)と高度な技術(技)を、鍛え抜かれた肉体(体)で支えることで、最大限の力を発揮できるとされます。

    近年では、スポーツやビジネスの分野でも、「心技体」の考え方が重要視されており、それぞれの要素をバランスよく高めることが、目標達成や自己成長につながると考えられています。

    これは福祉の領域、とりわけ対人援助においても同じだと私は考えます。


    そしてここからが今回のテーマ、心技体の「」について詳しくお話しをしていきます。

    結論から話すと「いかに心の器を空にした状態で相手に向き合えるか」に帰結します。器の大きさはそう簡単に変えることが出来ませんが、器に溜まる水は工夫次第で減らすことが出来ます。

    数学やプログラミングなどにおいて変数と定数というものがあります。変数はその名の通り変えることが出来る数ですが、定数は変えることが出来ない数です。

    つまりは、自分の中で何を変えることが出来て何を変えることが出来ないのかをよく知ることが大切というわけです。

    対人援助というだけあって、利用者や患者、その家族、時には職員同士といった、生身の人間のポジティブな表現からネガティブな表現までダイレクトに受け止めなければならない場面が多くあります。

    プライベートでの出来事も含めてその他様々なストレスが積み重なってしまうと、相手のささいな言動や何気ない時に突然感情が爆発してしまう時があります。そうなってしまうと、相手に感情のまま言葉や行動をぶつけ、人間関係のこじれや虐待などといった取り返しのつかないことへと繋がっていきます。


    心の器を知る

    では、そうならないためにはどのようにしたらよいかを考えていきます。

    まず、水がギリギリまで入っているコップに一滴一滴ゆっくりと水を注いでいく状況をイメージしてみます。

    表面張力によって水面がパンパンに膨らんで今にも溢れ出してしまいそうな状況です。

    そして遂に、これまで押さえつけられていたものが決壊して水が一気に溢れ出していきます。これが感情が爆発した状態であり、コントロールを失った状態です。そうなってしまうと、相手に感情のまま言葉や行動をぶつけ、人間関係のこじれや虐待などといったことへ繋がっていきます。

    ここで大切なのは、注がれていた一滴一滴の水はあくまでコップから水が溢れる小さな原因に過ぎないということです。そしてもっと大切なのは、コップに元々入っていた水が大きな原因であるということです。

    一滴一滴の水は仕事や社会生活を送る上でのちょっとしたストレスの積み重ねであり中々避けることが出来ません。これは外からのストレスと言えます。

    一方、元々コップに溜まっていた水は自分自身で作り出してしまっている内からのストレスと言えます。

    そのため、感情のコントロールを失っている時や失いやすくなっている時は、注がれていた一滴一滴の水というきっかけに着目するのなく、コップに元々溜まっていた水に着目してみることが大切です。

    そして、コップに元々溜まっていた水は、考え方を身につけることで減らすことが出来るようになります。

    様々なことを学んだ上ですることは、プラスではなくマイナス、足すのではなく引く、です。

    次回以降は心の器を空にするための具体的なコツついて小出しでお話ししていきたいと思います!

    最後まで読んで頂きありがとうございました。

    (さらに…)