カテゴリー: 心技体の体

  • 福祉領域における血液検査結果の「WBC」と「CRP」の重要性とは?

    福祉の現場では、利用者さんの健康状態を日々観察することがとても大切です。その中でも、病院で行われる「血液検査」の結果を理解することは、体調変化にいち早く気づくための重要な手がかりになります。特に「WBC(白血球数)」と「CRP(C反応性タンパク)」は、感染症や炎症を把握するうえでよくチェックされる項目です。


    1. WBC(白血球数)とは?

    – 白血球は、体の中に侵入してきた細菌やウイルスを攻撃する「免疫の主役」
    – 血液検査では WBC値(白血球の数)を測定します
    – 正常範囲より高ければ「感染や炎症の可能性」、低ければ「免疫力の低下」を示すことがあります

    例:
    ・風邪や肺炎などの感染症 → WBCが増加
    ・抗がん剤治療などで骨髄抑制がある場合 → WBCが減少


    2. CRP(C反応性タンパク)とは?

    – CRPは、体の中で炎症が起きたときに血液中に増える物質
    – 炎症の「程度」を数値で示すため、感染やケガの重症度を把握する指標になります

    例:
    ・風邪の初期 → CRPはあまり上がらない
    肺炎や尿路感染症など全身に影響する炎症 → CRPが大きく上昇


    3. 福祉現場での活かし方

    福祉職は医師や看護師ではありませんが、利用者の生活を支える立場として血液検査の意味を理解しておくことは役立ちます。

    – 発熱時にWBC・CRPの数値を把握することで「ただの風邪か」「重い感染か」を医療者と共有できる
    – 利用者さんやご家族に「数値が高いので注意が必要です」と説明する際の根拠になる
    感染症が広がるのを早期に察知し、他の利用者への感染予防につなげられる


    4. まとめ

    WBCとCRPは、どちらも「体の中で感染や炎症が起きていないか」を判断する大切な指標です。
    – WBC → 白血球の数(免疫の働き具合)
    – CRP → 炎症の強さ(どのくらい重いか)

    福祉現場において、これらの数値を理解し医療職と連携することは、利用者さんの健康を守るための大きな力になります。


    免疫についてをシリーズ化したこちらの記事をも一緒にお読み頂けるとさらに理解が深まります。免疫機能を高めるためにできる生活習慣

  • ノンバーバルコミュニケーションとは?言葉を超えた伝え方

    今日は「ノンバーバルコミュニケーション」についてご紹介します。普段の生活や仕事の場面で、人は言葉だけでなく、身振りや表情などさまざまな方法で気持ちを伝えています。これを理解すると、対人関係がぐっとスムーズになります。


    ノンバーバルコミュニケーションとは?
    ノンバーバル(Non-verbal)とは「非言語」という意味です。つまり、言葉を使わずに相手に気持ちや意図を伝える方法を指します。具体的には、表情、視線、姿勢、声のトーン、身振り手振り、さらには服装や距離感なども含まれます。


    バーバルコミュニケーションとの違い
    一方で、言葉を使ったやりとりは「バーバル(Verbal)コミュニケーション」と呼ばれます。バーバルは会話や文章のように、言葉を通じて明確に伝える手段です。これに対してノンバーバルは、直接的に言葉を交わさなくても、雰囲気や感情を伝える力を持っています。


    ノンバーバルの具体例
    – 笑顔で挨拶する → 親しみや安心感を伝える
    – 腕を組む → 防御的、拒否的な印象を与えることがある
    – 視線を合わせる → 関心や信頼を示す
    – 声のトーンを柔らかくする → 安心感や落ち着きを与える


    ノンバーバルが大切な理由
    研究によると、人間同士のコミュニケーションの大部分は言葉以外で成り立っているといわれています。例えば、同じ言葉でも笑顔で言うのと、怒った表情で言うのとでは、受け取る印象がまったく違います。つまり、言葉の内容よりも、ノンバーバルの要素が相手に大きな影響を与えるのです。


    ノンバーバルを活かすコツ
    – 相手の目を見て話す
    – 穏やかな表情や声を意識する
    – オープンな姿勢を心がける
    – 相手との適度な距離を保つ
    これらを意識するだけで、相手との信頼関係を築きやすくなります。


    まとめ
    ノンバーバルコミュニケーションは、言葉を超えて気持ちを伝える大切な手段です。バーバルとノンバーバルを組み合わせることで、より深く、誤解の少ないコミュニケーションが可能になります。日常のちょっとした場面で、ぜひノンバーバルを意識してみてください。

  • ポリヴェーガル理論を活かしたストレスケアの方法

    今回は前回紹介した「ポリヴェーガル理論」をもとに、日常生活でできるストレスケアの方法をご紹介します。難しい専門用語はできるだけかみくだいて説明しますので、リラックスしながら読んでみてください。


    ポリヴェーガル理論とは?

    前回のおさらいですが、ポリヴェーガル理論とは、アメリカの神経科学者スティーブン・ポージェス博士が提唱した、自律神経に関する理論です。

    従来は「交感神経」と「副交感神経」という二つの働きでストレスやリラックスを説明していましたが、ポリヴェーガル理論では副交感神経をさらに2つに分けて考えます。

    交感神経 … 緊張・戦う・逃げる反応

    背側迷走神経(古い副交感神経) … フリーズ、心や体が固まってしまう反応

    腹側迷走神経(新しい副交感神経) … 安心・つながり・リラックスを感じる状態

    つまり、人は「緊張」「固まる」「安心」という3つのモードを行き来していると考えられるのです。


    ストレスがかかるとどうなる?

    強いストレスを感じると、まず交感神経が優位になり、心拍数が上がったりイライラしたりします。

    さらに耐えきれなくなると「背側迷走神経」が働き、無気力になったり心が閉じてしまうこともあります。

    そのため、ストレスケアのポイントは 「安心・安全を感じられる状態=腹側迷走神経を活性化すること」 です。


    ポリヴェーガル理論を活かしたストレスケアの方法

    1. 呼吸をゆっくり整える

    腹式呼吸や4秒吸って6秒吐くようなリズム呼吸は、迷走神経を刺激し、リラックスモードに導きます。

    2. 安心できる人とつながる

    信頼できる人との会話、目を合わせて微笑むことなどは腹側迷走神経を活性化します。「安心の社会的つながり」が一番の回復資源です。

    3. 心地よい声や音楽を聴く

    人の声のトーンやリズムは迷走神経に直接影響します。落ち着いた音楽や優しい声を聞くことも効果的です。

    4. 身体を軽く動かす

    ストレッチや散歩など、無理のない運動は交感神経の過剰な働きを和らげます。

    5. 安心できる環境を整える

    照明を少し落とす、自然の香りを取り入れる、好きな飲み物をゆっくり味わうなど、「安全」を感じられる工夫がストレスケアにつながります。


    まとめ

    ポリヴェーガル理論は、単なるリラックス方法ではなく「安心・つながり」が人間にとって根本的な回復の鍵であることを教えてくれます。

    ストレスを感じたときには、「安心モード」に戻れる工夫を意識してみましょう。

    小さな実践の積み重ねが、心と体の健康を守ってくれます。

    次回は背側迷走神経とも関わりのある「学習性無力感」についての記事を紹介します!

    (さらに…)
  • ポリヴェーガル理論とは?心と体をつなぐ神経のお話

    今日は「ポリヴェーガル理論(Polyvagal Theory)」という、ちょっと難しそうに聞こえるけれど、実は私たちの毎日の心と体の状態に深く関わっている理論をご紹介します。


    ポリヴェーガル理論ってなに?
    ポリヴェーガル理論は、アメリカの神経科学者 ステファン・ポージェス が提唱した理論です。「自律神経の働きと人の安心感・ストレス反応の関係」を説明してくれるもので、カウンセリングや心理療法の分野で注目されています。


    自律神経といえば「交感神経」と「副交感神経」
    中学校で習ったことを思い出すと…
    – 交感神経:戦う・逃げるときに働く(興奮・緊張)
    – 副交感神経:リラックスして休むときに働く
    こう教わりましたよね。
    でもポリヴェーガル理論は、副交感神経をさらに2つに分けて考えます。これがポイントなんです。


    ポリヴェーガル理論の3つのモード
    ポリヴェーガル理論によると、私たちの体と心は3つの状態を行き来しています。

    社会的つながりモード(安全・安心)
    – 副交感神経の「腹側迷走神経」が働いている状態
    – 人と安心して話したり、笑ったり、リラックスして過ごせる
    – 心も体も落ち着きやすい

    闘争・逃走モード(危険への反応)
    – 交感神経が優位な状態
    – 体が緊張し、心拍数が上がる
    – ストレスや危機を感じて「戦う」「逃げる」の準備をする

    凍りつきモード(絶望・無力感)
    – 副交感神経の「背側迷走神経」が働きすぎている状態
    – 体が固まる、動けない、無気力になる
    – 心がシャットダウンしてしまう感覚に近い


    日常生活での例え
    例えば…
    – 友達とカフェで安心しておしゃべりしている → 社会的つながりモード
    – 上司に叱られて心臓がドキドキ → 闘争・逃走モード
    – 強いストレスで頭が真っ白になり、体が動かない → 凍りつきモード
    誰でもこれらを自然に行き来しています。


    ポリヴェーガル理論が教えてくれること
    この理論からわかるのは、「ストレスで反応するのは心の弱さではなく、体の神経システムの働き」だということです。
    つまり、安心できる環境や人とのつながりを感じることが、心身の健康にとってとても大切なんです。


    安心感を取り戻すヒント
    ポリヴェーガル理論を日常に活かすなら、こんなことが役立ちます。
    – 深呼吸をしてゆっくり吐く
    – 信頼できる人と話す
    – やさしい音楽を聴く
    – ペットと触れ合う
    – 安全だと感じられる場所で休む
    こうした工夫で「社会的つながりモード」に戻りやすくなります。


    まとめ
    ポリヴェーガル理論は、私たちの心と体の反応を「安全・危険・絶望」という3つのモードで説明してくれる理論です。
    「なんだか疲れて動けない…」「緊張しすぎて苦しい…」と感じるとき、それは自分が弱いのではなく、体の神経システムが働いているだけ。
    そんな風に理解することで、自分を責めずに「安心できる時間」を意識して過ごせるようになるかもしれません。

    次回は「ポリヴェーガル理論を活かしたストレスケアの方法」についてもご紹介します!

  • 仕事の三本柱「お金・やりがい・人間関係」とは?

    私たちが日々働く中で、「何のために働くのか」を考えると、必ずといっていいほど浮かんでくるのが お金・やりがい・人間関係 の3つです。これは「仕事の三本柱」とも言える存在であり、このバランスが整っているかどうかで、働きやすさや人生の満足度が大きく変わります。


    1. お金 ― 生活の基盤

    まず欠かせないのは「お金」です。仕事は収入を得る手段であり、生活を支えるために不可欠です。十分な収入が得られなければ、生活に不安が生じ、心の余裕を失ってしまいます。

    – 給与が安定していること
    – 労働に見合った報酬があること
    – 将来を見据えた昇給や保障があること

    これらが整うことで、安心して働き続けることができます。


    2. やりがい ― 成長と充実感

    お金だけでなく、仕事に「やりがい」を感じられるかも重要です。やりがいはモチベーションの源であり、仕事を「ただの作業」ではなく「自己成長の場」として感じさせてくれます。

    – 自分のスキルや知識を活かせる
    – 目標達成や成果が評価される
    – 社会や誰かの役に立っていると実感できる

    こうした経験は、自分の存在価値を高め、長期的に仕事を続ける力になります。


    3. 人間関係 ― 働きやすさの鍵

    最後に見逃せないのが「人間関係」です。たとえ給与が高く、やりがいのある仕事でも、職場の人間関係が悪ければストレスは大きくなり、心身をすり減らしてしまいます。

    – 上司や同僚との信頼関係
    – 困ったときに助け合える環境
    – 意見を言いやすい風通しの良さ

    職場の雰囲気が良ければ、困難も乗り越えやすくなり、安心して働くことができます。


    まとめ ― 三本柱のバランスを整える

    「お金」「やりがい」「人間関係」は、どれか一つだけが突出していても、長くは続きません。お金があってもやりがいがなければ虚しく、人間関係が悪ければ疲れてしまいます。大切なのは、この三本柱のバランスを見つめ直し、自分に合った働き方を選んでいくことです。

    あなたにとって「理想の三本柱」はどのような形でしょうか?ぜひ一度、立ち止まって考えてみてください。

  • 歯磨きの大切さ

    歯磨きは、私たちの健康を守るうえで欠かせない習慣です。特に福祉領域においては、利用者の生活の質(QOL)を高めるために、日常生活支援の一つとして重要な意味を持っています。


    1. 口腔ケアがもたらす健康効果

    歯磨きを通じた口腔ケアは、むし歯や歯周病を予防するだけではなく、誤嚥性肺炎の予防や、全身の健康維持にもつながります。高齢者や障害のある方にとっては、食事を楽しみ、安全に飲み込むために口腔の清潔さが大切です。


    2. 心の健康とのつながり

    口の中が清潔であることは、単に体の健康に良いだけでなく、気分の安定や自己肯定感の維持にもつながります。笑顔を見せやすくなり、対人関係における安心感も高まります。


    3. 支援者の役割

    福祉現場では、利用者が自分で歯磨きを行うのが難しい場合、支援者が適切にサポートする必要があります。その際に大切なのは、ただ「磨いてあげる」のではなく、できる範囲で本人の主体性を尊重することです。例えば、歯ブラシを自分で持ってみる、仕上げを職員が行う、といった工夫が考えられます。


    4. 継続のための工夫

    歯磨きを習慣化するには、楽しく行える工夫も大切です。お気に入りの歯ブラシを使う、音楽をかけながら磨く、歯磨き後に「さっぱりしたね」と声をかけるなど、小さな工夫で継続しやすくなります。


    まとめ

    歯磨きは「健康の入り口」とも言えるほど大切な習慣です。福祉領域においては、利用者の生活を支える基本的なケアの一つとして位置づけられています。体の健康だけでなく、心の安定や社会的なつながりを守るためにも、日々の口腔ケアを大切にしていきましょう。

  • 心技体の体について

    心技体の体について

    はじめまして、赤嶺圭一朗です!

    この度、対人援助を学べるブログ「福祉道」を開設しました。

    私は沖縄県で生ま育ち、幼少の頃から自然豊かな土地で過ごしました。沖縄は自然豊かで人も温かい場所なのでぜひ行ってみて頂きたいです。

    また、高校卒業後に上京し、大学在学中から重症心身障害児(者)と呼ばれる重度の知的障害および重度の肢体不自由が重複している状態にある方々の支援に約10年間携わっていました。成功体験から失敗体験まで、そこで得た支援の知識とノウハウを独自の視点を交えて分かりやすくお伝え出来ればと思います。

    詳しい自己紹介はこちらの記事に書きましたので読んで頂ければと思います。

    福祉道の心得は以下の3つです。

    対人援助職である

    エッセンシャルワーカーである

    ③ 心技体の備わった人間力が大切である

    ※福祉道の心得の概要はこちらの記事にまとめていますので合わせて読んで頂けたらと思います。

    福祉道の心得の3つ目「心技体の備わった人間力が大切である」で言われるように、人間力を磨くには心技体を兼ね備えることが重要です。対人援助職であり、エッセンシャルワーカーでもある福祉の仕事においては、この心技体を整えた状態で臨んでいくことが求められます。

    心技体とは

    心技体とは心(精神力)、技(技術力)、体(体力)の3つの要素がバランスよく調和している状態を指す言葉です。特に武道やスポーツの世界でよく使われますが、ビジネスや日常生活においても、この3つの要素のバランスが重要であるとされています。

    それぞれの要素について詳しくお話しをしていきます。

    ①心

    精神力、意思、集中力、モチベーション、平常心など、精神的な強さや状態を表します

    ②技

    技術、スキル、知識、経験など、具体的な行動やパフォーマンスの質に関わる要素を表します

    ③体

    体力、身体能力、健康状態など、肉体的な要素を表します

    これらの3要素がバランスよく発達している状態が、最高のパフォーマンスを発揮できる状態であると考えられています。例えば、武道においては、強い精神力(心)と高度な技術(技)を、鍛え抜かれた肉体(体)で支えることで、最大限の力を発揮できるとされます。

    近年では、スポーツやビジネスの分野でも、「心技体」の考え方が重要視されており、それぞれの要素をバランスよく高めることが、目標達成や自己成長につながると考えられています。

    これは福祉の領域、とりわけ対人援助においても同じだと私は考えます。


    そしてここからが今回のテーマ、心技体の「体」についてお話しをしていきたいと思います。まず「体を知る」ということが大切です。生命活動をはじめ仕事や介助を行なっている自分自身の体、そして利用者の体を知るということが大切です。

    体は骨、筋肉、内臓、皮膚などの器官や仕組みから成り、それぞれが連携して生命活動を維持しています。具体的には、脳からの命令で筋肉が関節を動かし、食べ物から取り入れた栄養と酸素でエネルギーを生み出し、心臓が全身に血液を送り出すといった複雑な機能を持っています。

    体の構成要素

    • 成分:
      体は約60%が水分で、その他にタンパク質、脂質、ミネラルなどが含まれています。主要な元素は酸素、炭素、水素、窒素で、全体の95%を占めます。
    • 器官・仕組み:
      体は心臓、肺、胃などの「器官」や、骨や筋肉、神経、血管などの仕組みが集まってできています。
    • 外観:
      頭、首、胴体、両腕、両脚の「五体」に分けられ、それぞれが異なる役割を担っています。

    体の機能

    • エネルギー生産:
      食事から摂った栄養分と呼吸で取り入れた酸素を使って、体内でエネルギーを作り出します。
    • 運動と活動:
      脳からの指令で筋肉が収縮し、関節を動かすことで手足が動き、運動することができます。
    • 体温調節:
      寒い時には筋肉の震えや血管の収縮によって熱を作り出し、体温を維持します。
    • 血液循環:
      心臓がポンプの役割を果たし、血液を全身に送り出すことで栄養や酸素を運び、二酸化炭素を回収します。
    • 感覚と保護:
      皮膚には外部からの刺激を感じ取るセンサーがあり、外部の刺激から体を保護する役割も担います。

    体を維持するために

    • 食事::体に必要な栄養を摂取し、エネルギーを生産します。
    • 運動::筋肉を動かすことで骨が強くなり、全身の健康を維持します。
    • 睡眠・休養::体や脳を休ませ、生命活動を維持するために不可欠です

    介護や医療の現場においては、体を知るために行うバイタルチェックが大切です。

    バイタルチェック(バイタルサイン測定)とは、体温、脈拍、呼吸、血圧、意識レベルなどの生命の兆候(バイタルサイン)を測定し、健康状態を客観的に把握する検査です。全身状態の変化や異常のサインを早期に発見し、適切な処置につなげる目的で行われます。特に高齢者など体調変化が自覚しにくい方にとって、病気の早期発見・早期治療に繋がり、重症化を防ぐ上で重要です。

    バイタルサインの主な項目

    • 体温(体温):最も一般的な測定項目です。
    • 脈拍(みゃくはく)::心臓の動きを測る指標です。
    • 呼吸(こきゅう)::呼吸の回数や深さを確認します。
    • 血圧::心臓が血液を送り出す圧力です。
    • 意識レベル::意識がはっきりしているか、ぼんやりしているかを確認します。
    • SpO2(血中酸素飽和度)::介護現場で測定されることもある項目で、血液中の酸素濃度を測ります。

    バイタルチェックの目的と重要性

    • 健康状態の把握:
      客観的なデータをもとに、全身の健康状態を把握できます。
    • 異常の早期発見:
      測定値の変化を継続的に確認することで、体調の異変にいち早く気づくことができます。
    • 病気の早期発見と治療:
      異常が発見された場合は、速やかに医師に連絡し、適切な指示を仰ぐことで、病気の早期発見・早期治療に繋がります。
    • 介護・医療サービスの安全な提供:
      介護現場では、利用者様が安全に入浴や訓練などのサービスを受けられるかの判断材料となります。

    実施される場面

    • 医療現場:
      病院では定期的に測定され、患者の状態変化の記録に利用されます。
    • 介護現場:
      高齢者の体調変化を早期に発見し、適切なケアを提供するために行われます。
    • 訪問看護:
      訪問介護の際に、利用者様の状態を確認し、医療との連携を図る上で重要な役割を果たします。

    実施する際の注意点

    • 利用者様に触れて測定するため、機器の取り扱いや測定方法について理解し、安心してもらえるように説明しながら行いましょう。
    • 測定結果は記録し、変化があればかかりつけ医への連絡や指示を仰ぎます

    いかがでしたでしょうか?

    今回は心技体の「体」について、まず「体を知る」ということが大切だとお話ししてきました。利用者の体を知るということは、生命活動をはじめ仕事や介助を行なっている自分自身の体を知ることでもあります。

    これらは利用者の安全安心を確保するために必要な知識ではありますが、その前に利用者のケアをする介助者がいなければなりません。介助者はなるべく負担を小さくし体を壊さないようにするといった工夫も大切です。

    次回以降は利用者や介助者の体にまつわるお話しを小出しで出していきたいと思います。

    最後まで読んで頂きありがとうございました!

    (さらに…)