はじめに

・後ろから肩を軽く叩かれたとき
・誰かが近くで物を落としたとき
・遠くで雷が鳴っているとき
など、日常のちょっとした場面で、体が「ビクッ」と大きく反応してしまうことはありませんか?
また、周囲の人よりも驚きやすい、緊張しやすいと感じる方を見かけたことがあるかもしれません。
もちろん、突然の刺激に驚くのは自然な反応です。

しかし、中には
・心拍数が急激に上がる
・冷や汗が出る
・体のこわばりが強くなる
など、他の人より敏感に反応してしまう場合があります。
このようなビクッとする反応の背景には、原始反射(げんしはんしゃ)が関係していることがあります。
原始反射を知っておくことで、
・自分の体の反応を理解しやすくなる
・子どもの発達段階の気づきにつながる
・支援や関わりのヒントが得られる
など、日常生活の安心に繋がる視点が得られます。
この記事では、
・原始反射とは何か
・その仕組みや役割
・発達との関わり
について分かりやすく解説していきます。
原始反射ってなに?

ではまず、原始反射とはどんなものなのでしょうか?
私たち人間は、生まれた瞬間から「生きるための基本プログラム」のような仕組みを体に備えています。
そのひとつが原始反射です。
原始反射は、生後すぐの赤ちゃんにみられる、自分の意思ではコントロールできない反射的な動きのことを指します。
例えば、
・頬に触れるとそちらを向く
・音に驚いて手足を広げる
・手に触れたものをぎゅっと握る
など、無意識に起こる行動です。
これらの反射は、赤ちゃんの脳がまだ未発達である時期に、生命を守るために重要な役割を果たします。
成長がすすむと、大脳の発達によって徐々に反射は消え、意識して体を動かせるようになります。
原始反射の役割

原始反射は単なる動きではなく、赤ちゃんが生きるうえで大切な安全装置のようなものです。代表的な役割は以下の通りです。
● 生きるための基本行動を支える
たとえば、
・吸啜反射(きゅうてつはんしゃ) … 口に触れたものを吸う
・探索反射(ルーティング反射) … 乳首の方向へ顔を向ける
これらは栄養を得るために欠かせない反射です。
● 危険から身を守る
強い音や刺激を受けると手足を大きく広げる反応(モロー反射という)は、防御のための本能的な反応と考えられています。
● 発達の基礎をつくる
反射は成長とともに消えるだけでなく、その後の姿勢や運動の発達の土台をつくる役割も持っています。
反射が適切に消えていくことで、
寝返り→お座り→ハイハイ→立ち上がり
などの運動発達へと繋がっていきます。
原始反射の種類

ここからは、代表的な原始反射をいくつか紹介します。
■ モロー反射
大きな音や急な動きなどに驚くと、両手を大きく広げ、その後ぎゅっと抱きつくように戻す反応。これは通常、生後4か月ごろまでに消失します。
■ 吸てつ反射
口に触れたものを吸う反応。授乳のために最も重要な反射のひとつです。
■ 探索反射
頬や口の周りに触れられると、その方向へ顔を向けて口を開ける反応。母乳や哺乳瓶を探すときに役立ちます。
■ 把握反射
指を手のひらに入れると強く握り返す反応。足にも似た反射があり、歩行や姿勢発達の準備に関係します。
■ 歩行反射
赤ちゃんを立たせて足の裏が床に触れると、歩くような動作をします。
発達との関わり

原始反射は通常、生後数か月~1年ほどの間に自然と消失していきます。これは脳の発達が進み、自分の意思で体を動かせる「随意運動」へ切り替わったサインでもあります。
しかし、以下のような要因で反射が残りやすくなることがあります。
・発達の遅れ
・緊張しやすさ
・感覚の敏感さ
・姿勢保持の苦手さ
・運動がぎこちない
・落ち着きにくい
・集中が続きにくい
原始反射が長く残存していると、日常の中で以下のような行動につながることがあります。
・ちょっとした音でビクッとしやすい
・姿勢が崩れやすい(猫背・横座りなど)
・細かな手作業が苦手
・書字の姿勢が安定しにくい
・注意が散りやすい
・スポーツで体の連動が難しい
もちろん、原始反射が残っていても必ず困難が出るわけではありません。
しかし、生活や学習面に影響するケースもあるため、周りの大人が「反射の影響かもしれない」という視点を持つことが適切な関わりにつながります。
おわりに

いかがだったでしょうか?
原始反射は、赤ちゃんが生まれながらに備えている大切な生命の仕組みです。
これは、成長とともに自然に消えていきますが、発達の特性によっては残りやすいこともあるため、子どもの姿勢や反応のヒントになることがあります。
支援者、保護者、教育者など、子どもと関わる立場の方が「反射による体のサイン」を知っておくことで、その子に合った関わり方を見つけやすくなります。
理解が進むことで、驚きやすい、姿勢が安定しないといった行動も、「性格」ではなく「体の仕組み」として受け止めることができ、安心できる環境づくりにも繋がります。
今後も、一人ひとりの特性に寄り添える情報をお届けしていきます。必要に応じて、専門職への相談も活用しながら、より生活しやすい毎日を作っていきましょう。

