免疫力の低下は、利用者さんの健康状態を左右する大きな要因です。
福祉現場では、医療機関のような検査設備がないことが多いため、日々の観察と記録 がとても重要になります。
ここでは、前回紹介した免疫力低下のサインをもとに、現場での観察・支援方法を整理していきます。
1. 風邪や感染症にかかりやすい場合
• 観察ポイント:発熱、咳、鼻水、のどの痛みなどの有無を日々チェック。
支援方法:
• 室内の換気や加湿を徹底する
• 手洗い・うがい・マスクの声かけ
• 感染症流行期には外出や集団活動の工夫
2. 傷や皮膚の治りが遅い場合
• 観察ポイント:小さな擦り傷や床ずれの経過を写真や記録で確認。
支援方法:
• 清潔保持と適切な処置を行う
• 栄養(特にタンパク質やビタミン)を意識した食事支援
• 医療機関への早めの連携
3. 疲れやすさ・倦怠感が続く場合
• 観察ポイント:日中の眠気や活動量の減少を見守る。
支援方法:
• 適度な休憩時間を確保
• 睡眠環境の整備(静かな環境・照明調整)
• 無理のない運動習慣をサポート
4. 口内炎やヘルペスが繰り返し出る場合
• 観察ポイント:口腔内の状態や食事中の痛みの訴えをチェック。
支援方法:
• 口腔ケアを丁寧に行う
• 繰り返す場合は医師へ相談
5. 腸の不調(便秘・下痢)が続く場合
• 観察ポイント:排便の回数・性状を日誌で記録。
支援方法:
• 水分摂取を促す
• 食物繊維や乳酸菌を取り入れた食事提供
• 長引く場合は受診を勧める
6. 睡眠の質の低下が見られる場合
• 観察ポイント:夜間の覚醒回数、昼間の眠気を記録。
支援方法:
• 就寝前の環境調整(照明・音・温度)
• 日中の活動量を増やして自然な眠気を促す
• 睡眠薬使用の有無を確認し、必要に応じて医師へ報告
7. 気分の落ち込み・ストレスが見られる場合
• 観察ポイント:表情・言動の変化、元気の有無を見守る。
支援方法:
• 気持ちを受け止める傾聴
• 趣味活動や交流の機会を提供
• 必要に応じて心理士や主治医と連携
まとめ
福祉現場での免疫力低下サインの観察・支援は、
• 日々の小さな変化に気づくこと
• 記録を積み重ねること
• 医療との連携を適切に行うこと
が基本となります。
利用者さん自身が「なんとなく調子が悪い」と訴えにくい場合もあるため、職員の観察眼と支援の工夫が健康維持のカギになります。
次回は続編として、利用者さんだけでなく 福祉職員自身の免疫力を守るセルフケア に焦点を当てた記事を作成しました。