福祉や医療現場で活躍するリハビリ専門職、PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)。
それぞれ専門分野は異なりますが、実は「リハビリの基本的な考え方」には共通点があります。今回は、その共通の理念やアプローチについてわかりやすく解説します。
1. 利用者本人の「できること」を伸ばす
リハビリの基本は、できないことに注目するのではなく、できることを最大限に活かすことです。
• PTは、歩行や関節の動きなど、身体機能の「残っている力」を伸ばす
• OTは、日常生活動作の中で、利用者が自分で行える部分を増やす
• STは、発声や嚥下、ことばの力の「残された力」を活かす
ポイント:小さな「できた」を積み重ねることで、自信と自立心を育てます。
2. 個別性を重視する
一人ひとりの状態、年齢、生活環境、目標は異なります。
リハビリは、その人に合わせたプランで実施することが基本です。
• PT:筋力や関節の状態に応じた運動プログラム
• OT:趣味や生活習慣に合わせた作業活動
• ST:発音や嚥下の困難度に応じた訓練方法
ポイント:画一的ではなく、オーダーメイドの支援が大切です。
3. 段階的・継続的アプローチ
リハビリは、一度で完了するものではありません。
小さなステップを重ね、段階的に目標を達成することが基本です。
• まず「座れる」「立てる」など基礎動作を安定させる(PT)
• 次に「着替えや食事の自立」など日常生活動作を拡張する(OT)
• ことばや嚥下の訓練も、簡単な動作から徐々に難易度を上げる(ST)
ポイント:短期的な成果より、長期的に生活の質を高めることが重視されます。
4. 環境や周囲のサポートを活かす
リハビリは「本人だけの努力」ではなく、環境や周囲のサポートを組み込むことが大切です。
• 家具の配置や手すりの設置(PT・OT)
• 補助具や自助具の活用(OT・ST)
• 家族や介護職員との協力(PT・OT・ST共通)
ポイント:生活環境に合った支援が、効果を最大化します。
5. 安全と負担のバランスを考える
リハビリは「無理なく、でも挑戦的に」行うことが基本です。
安全性を確保しつつ、少しずつ挑戦の幅を広げることで、効果的に機能を回復・維持できます。
• 転倒リスクや誤嚥リスクを評価する
• 疲労や痛みのサインに注意しながら進める
• 効果と安全のバランスを常に調整する
まとめ
PT・OT・STに共通するリハビリの基本的な考え方は、次の5つです。
1. 利用者本人の「できること」を伸ばす
2. 個別性を重視する
3. 段階的・継続的アプローチ
4. 環境や周囲のサポートを活かす
5. 安全と負担のバランスを考える
いかがでしたでしょうか?
以上が福祉現場での「PT・OT・ST」についての記事でした。
これらの考え方を理解すると、介護職員や家族もリハビリの支援方針に沿ったサポートができ、利用者にとってより効果的な生活支援が可能になります。