福祉現場での「PT・OT・ST」の意味と役割、利用の仕方とは?

福祉や医療の現場では「PT・OT・ST」という言葉を耳にすることがあります。これらは専門職の略称であり、リハビリテーションや生活支援に欠かせない存在です。今回は、それぞれの意味と役割、そしてどのように利用されるのかをご紹介します。


1. PT(Physical Therapist:理学療法士)とは

理学療法士(PT) は、主に「身体の機能回復」を専門とするリハビリ職です。

病気や障害、高齢による身体機能の低下に対して、運動や物理的な手段(電気・温熱・水治療など)を用いて支援します。

具体的な役割

• 歩行訓練や立ち上がり動作の練習

• 関節の可動域や筋力の維持・改善

• 車椅子や杖など福祉用具の選定・指導

• 痛みやしびれの軽減

例:高齢者施設では、転倒予防のための体操や歩行練習をサポートします。


2. OT(Occupational Therapist:作業療法士)とは

作業療法士(OT) は、心身の機能を「生活動作」に結びつけるリハビリ職です。

日常生活で必要な「できること」を増やし、生活の質(QOL)を高める支援をします。

具体的な役割

• 食事・着替え・入浴など日常動作の訓練

認知症の方への認知機能リハビリ

• 手工芸や調理など「作業活動」を通した心身の活性化

• 自助具(スプーンや食器など)の選定や使い方の工夫

例:手が不自由な方に、握りやすいスプーンを紹介し、自分で食事ができるよう支援します。


3. ST(Speech-Language-Hearing Therapist:言語聴覚士)とは

言語聴覚士(ST) は、「ことば」「聞こえ」「食べる機能」を支援する専門職です。

失語症や発音の問題、摂食・嚥下障害などにアプローチします。

具体的な役割

• 発語・発音訓練(失語症や構音障害の改善)

• 聴覚障害に伴うコミュニケーション支援

• 嚥下(飲み込み)訓練や食事形態の工夫

• 言語発達の支援(子どものことばの遅れ)

例:嚥下が難しい高齢者に、むせにくい飲み物や食事形態を提案します。


4. 福祉現場での活用方法

PT・OT・ST は、医療機関だけでなく、福祉施設や在宅支援の場でも活躍しています。

• デイサービス・デイケア

 利用者が自宅で暮らし続けられるよう、体力や生活動作を維持するためのリハビリを提供。

• 特別養護老人ホーム・グループホーム

 介護職員と連携し、生活動作の自立支援や認知症予防に関わる。

• 訪問リハビリ

 在宅生活を送る方の家に出向き、住環境に合わせた動作や訓練を実施。

障害福祉サービス

発達障害児へのことばの訓練や、身体障害者への就労支援など、多様な場面でサポート。


5. まとめ

PT(理学療法士)は 身体機能の回復、

OT(作業療法士)は 生活の質の向上、

ST(言語聴覚士)は ことば・聞こえ・食べる機能の支援 を担っています。

福祉の現場では、これらの専門職が利用者一人ひとりの「できること」を広げ、生活をより豊かにするために欠かせない存在です。

利用者やご家族にとっても、「自分の困りごとに合わせて、どの専門職に相談すればいいか」を知っておくことは大切です。

次回はPT・OT・STに実際に相談するにはどうすればいいのか?です!