カテゴリー: 心技体の技

  • 医療的ケアを必要とする利用者への支援で大切な考え方

    福祉の現場では、胃ろう、腸ろう、鼻腔チューブ、気管切開など、医療的ケアを必要とされる利用者の方々への支援が求められる場面が増えています。こうした支援は、単なる医療行為の補助ではなく、利用者の生活を支える大切な役割を担っています。本記事では、医療的ケアを必要とする利用者への支援において大切にしたい考え方を紹介します。


    1. 安全・安心を第一に

    医療的ケアは、命に直結する繊細な支援です。感染予防や誤操作を防ぐために、手洗い・手指消毒・器具の管理などの基本を徹底することが重要です。また、利用者本人やご家族にとって安心できるケアであるよう、丁寧な説明や声かけを行うことも欠かせません。


    2. 利用者の尊厳を尊重する

    医療的ケアが必要な方であっても、一人の生活者であり、尊厳ある存在です。ケアを行う際には「処置の対象」としてではなく、「生活を共にする仲間」として接することが大切です。プライバシーへの配慮や、本人の意思をできる限り尊重する姿勢を忘れてはいけません。


    3. チームで支える

    医療的ケアは一人の職員だけで完結するものではありません。看護師、介護職員、家族、医師など、多職種で情報を共有しながら支援を行うことが求められます。チーム全体で同じ方向性を持ち、利用者の生活の質を高めるために協力していく姿勢が重要です。


    4. 学び続ける姿勢

    医療的ケアの技術や知識は、日々進歩しています。また、利用者一人ひとりの状態に合わせた柔軟な対応も必要です。研修や勉強会に参加したり、日常の実践を振り返ったりしながら、学び続ける姿勢を持ちましょう。


    5. 利用者の「生活」を意識する

    医療的ケアはあくまで「生活の一部」であり、目的は「生きること」や「その人らしい生活を送ること」です。医療的ケアの時間が利用者の楽しみや社会参加の妨げにならないよう、生活全体の中でバランスを考えて支援していくことが大切です。


    まとめ

    医療的ケアを必要とする利用者への支援は、専門的な技術と同時に、人としての温かさや共感が求められるものです。安全を守りつつ、利用者の尊厳を尊重し、生活を支える視点を大切にすることで、利用者と支援者双方にとって豊かな時間が生まれるでしょう。

  • 歯磨きの大切さ

    歯磨きは、私たちの健康を守るうえで欠かせない習慣です。特に福祉領域においては、利用者の生活の質(QOL)を高めるために、日常生活支援の一つとして重要な意味を持っています。


    1. 口腔ケアがもたらす健康効果

    歯磨きを通じた口腔ケアは、むし歯や歯周病を予防するだけではなく、誤嚥性肺炎の予防や、全身の健康維持にもつながります。高齢者や障害のある方にとっては、食事を楽しみ、安全に飲み込むために口腔の清潔さが大切です。


    2. 心の健康とのつながり

    口の中が清潔であることは、単に体の健康に良いだけでなく、気分の安定や自己肯定感の維持にもつながります。笑顔を見せやすくなり、対人関係における安心感も高まります。


    3. 支援者の役割

    福祉現場では、利用者が自分で歯磨きを行うのが難しい場合、支援者が適切にサポートする必要があります。その際に大切なのは、ただ「磨いてあげる」のではなく、できる範囲で本人の主体性を尊重することです。例えば、歯ブラシを自分で持ってみる、仕上げを職員が行う、といった工夫が考えられます。


    4. 継続のための工夫

    歯磨きを習慣化するには、楽しく行える工夫も大切です。お気に入りの歯ブラシを使う、音楽をかけながら磨く、歯磨き後に「さっぱりしたね」と声をかけるなど、小さな工夫で継続しやすくなります。


    まとめ

    歯磨きは「健康の入り口」とも言えるほど大切な習慣です。福祉領域においては、利用者の生活を支える基本的なケアの一つとして位置づけられています。体の健康だけでなく、心の安定や社会的なつながりを守るためにも、日々の口腔ケアを大切にしていきましょう。

  • 発達障害の理解を広げるために~私たち一人ひとりができるアクションリスト~

    これまでの記事では、発達障害についての基礎知識やサポートの工夫、社会全体の取り組みについて紹介してきました。

    シリーズの最後にお届けするのは、個人として今日からできる小さなアクションです。

    大きな制度改革や専門的な支援だけでなく、私たち一人ひとりの理解や行動が、発達障害を持つ方の生きやすさを大きく変えていきます。


    個人でできるアクションリスト

    1. 正しい知識を学ぶ

    • 発達障害に関する本や記事を読む

    • 信頼できる情報源(自治体・支援センター・専門団体)をチェックする

    • SNSでの情報は鵜呑みにせず、裏付けを確認する


    2. 言葉の使い方に気をつける

    • 「わがまま」「怠けている」と決めつけない

    • 「普通」と比べるより「その人らしさ」を認める

    • ネガティブなラベルを避け、ニュートラルな言葉を使う


    3. 聴く姿勢を大切にする

    • 本人の困りごとを「努力不足」ではなく「特性」として受け止める

    • 話を遮らず、最後まで聴く

    • 家族や当事者の声を尊重する


    4. 日常の小さな配慮

    • 説明は具体的に、分かりやすく伝える

    • 時間や予定を一緒に「見える化」する

    • 集まりやイベントにおいて、無理に参加を求めない


    5. ポジティブな面に注目する

    • 苦手な部分よりも「得意なこと」を見つけて認める

    • 独自の視点やアイデアを「面白い」と評価する

    • 小さな成功を一緒に喜ぶ


    6. 社会に発信する

    • 自分が学んだ知識や体験を、周囲に共有する

    • 偏見や誤解に出会ったら、さりげなく正しい情報を伝える

    • ボランティアや地域活動に参加して支援の輪を広げる


    まとめ

    発達障害を持つ方への理解は、「特別なこと」ではなく日常の中の小さな行動から広がっていきます。

    • 学ぶこと

    • 聴くこと

    • 認めること

    • 伝えること

    これらを一人ひとりが実践していけば、誤解や偏見は少しずつ解消され、誰もが自分らしく過ごせる社会に近づいていきます。

    私たちができることは小さくても、その積み重ねは確実に未来を変える力になるのです。

  • 発達障害に関する誤解や偏見をなくすために~社会全体でできる取り組みとは~

    発達障害についての理解は少しずつ広まってきましたが、いまだに誤解や偏見は根強く残っています。

    「わがままに見える」「努力が足りない」「大人になれば治る」――こうした誤解は、本人や家族を孤立させる原因にもなります。

    今回は、発達障害に関する偏見をなくし、誰もが暮らしやすい社会をつくるために、私たちができる取り組みを紹介します。


    1. 正しい知識を広める

    誤解や偏見の多くは「知らないこと」から生まれます。

    取り組みの例

    • 学校や地域での啓発活動(講演会やワークショップ)

    • メディアでの正しい情報発信

    • 本人や家族の体験談を共有する機会を増やす

    知識が広がることで「理解できない存在」から「共に生きる仲間」へと見方が変わっていきます。


    2. インクルーシブな教育・職場づくり

    発達障害のある人を特別扱いするのではなく、多様性を前提にした仕組みづくりが必要です。

    取り組みの例

    • 学校での合理的配慮(座席や学習方法の調整)

    • 職場での柔軟な働き方(リモートワークや業務分担の工夫)

    • 障害の有無にかかわらず力を発揮できる「共生社会」の実現


    3. 本人や家族の声を聴く

    支援や制度は、現場の声が反映されてこそ意味があります。

    取り組みの例

    • 当事者や家族の意見を政策や学校運営に取り入れる

    • ピアサポート(同じ経験を持つ人同士の支え合い)の強化

    • SNSやオンラインコミュニティを通じた発信と交流

    「当事者抜きの議論」ではなく、「当事者と共に考える」姿勢が重要です。


    4. 偏見をなくす日常の関わり

    大きな制度だけでなく、私たち一人ひとりの行動も大切です。

    取り組みの例

    • 苦手な部分だけに注目せず、得意な部分を認める

    • 「普通」に合わせさせるのではなく、多様なやり方を受け入れる

    • ラベルで判断せず、一人の人として向き合う

    小さな気づきや配慮の積み重ねが、偏見のない社会をつくります。


    まとめ

    発達障害に関する誤解や偏見をなくすことは、発達障害のある人のためだけではなく、社会全体の豊かさにつながる取り組みです。

    • 知識を広めること

    • インクルーシブな環境を整えること

    • 当事者の声を聴くこと

    • 日常での小さな配慮

    これらの積み重ねによって、誰もが自分らしく生きられる社会を実現できます。

    シリーズの最後は「社会全体の理解を深めるために個人ができるアクションリスト」を交えた記事です!

    (さらに…)
  • 発達障害を持つ方と一緒に働く職場での工夫~多様性が力になる職場づくり~

    発達障害のある方が職場で力を発揮するためには、本人の努力だけではなく 周囲の理解や環境の工夫 が欠かせません。

    ここでは、職場で実践できるサポートの工夫を紹介します。


    1. わかりやすい指示・情報共有

    発達障害のある方は「曖昧な表現」が苦手な場合があります。

    工夫のポイント

    • 「なるべく早く」ではなく「17時までに」と期限を明確にする

    • 口頭だけでなく、メモやメールで残す

    • 複雑な業務は手順書を作り、誰でも確認できるようにする


    2. 作業環境の調整

    集中力や感覚の特性に合わせた環境づくりが効果的です。

    工夫のポイント

    • 静かな場所で作業できるスペースを確保する

    • デスク周りを整理し、必要な物の場所を固定する

    • 時間割や進捗を「見える化」して、安心して作業できるようにする


    3. 業務の進め方の工夫

    仕事の割り振り方を工夫することで、本人の得意を活かしやすくなります。

    工夫のポイント

    • 大きな業務は小さなステップに分けて提示する

    • 得意な作業を担当できるように調整する

    • 短時間で区切って取り組み、適度に休憩を入れる


    4. コミュニケーションの工夫

    対人関係で疲れやすい方も多いため、無理なく関われる仕組みが必要です。

    工夫のポイント

    • 感情的な言葉よりも、事実をベースに伝える

    • フィードバックは「できている点」→「改善点」の順で伝える

    • 雑談や飲み会の参加を強制しない


    5. サポート体制の整備

    本人や同僚だけでなく、職場全体が安心できる体制があると働きやすくなります。

    工夫のポイント

    • 定期的な面談で困りごとを共有する

    • 「相談できる人」を明確にしておく

    • 就労支援機関や産業医と連携する


    まとめ

    発達障害を持つ方と働く上で大切なのは、「特別扱い」ではなく「多様な働き方のひとつ」として受け入れる姿勢です。

    小さな工夫によって本人の力が発揮されるだけでなく、職場全体の働き方やコミュニケーションの質も向上します。

    発達障害の方が安心して働ける環境づくりは、結果的に 誰もが働きやすい職場づくり につながるのです。

    次回は「発達障害に関する誤解や偏見をなくすための社会全体での取り組み」について紹介します!

    (さらに…)
  • 発達障害のある方の強みや得意なこと ~個性を活かす社会へ~

    発達障害という言葉を聞くと、多くの人は「困りごと」「苦手さ」といった側面を思い浮かべるかもしれません。

    しかし、その裏側には ユニークな強みや得意分野 が隠されています。今回は、発達障害の方が持つポジティブな側面に目を向けてみましょう。


    1. 自閉スペクトラム症(ASD)の強み

    ASDの方は、こだわりや集中力の高さが特徴です。

    強みの例

    • 興味のある分野を深く掘り下げる探究心

    • 細部に気づく観察力

    • 一定のルールや手順を忠実に守れる正確さ

    研究職やIT分野、設計・デザインなどで力を発揮する人も少なくありません。


    2. 注意欠如・多動症(ADHD)の強み

    ADHDの方は、エネルギッシュでアイデア豊富な一面があります。

    強みの例

    • 新しい発想やアイデアを次々に生み出せる創造力

    • 興味のあることに対して爆発的な集中力(ハイパーフォーカス)

    • 行動力があり、挑戦を恐れない

    クリエイティブ分野や営業・企画など、人と関わりながら動く仕事で力を発揮することがあります。


    3. 学習障害(LD)の強み

    LDの方は特定の学習分野に困難がある一方で、他の能力が優れていることもあります。

    強みの例

    • 視覚的・感覚的な表現力に優れる(アート、音楽、デザインなど)

    • 直感的に理解する力

    • 独自の発想方法を持ち、柔軟なアイデアを出せる

    歴史上の偉人や芸術家の中にもLDを持っていたとされる人が多くいます。


    4. グレーゾーンの方の強み

    診断がつかない「グレーゾーン」の方も、柔軟に社会に適応しながら自分の特性を活かしているケースが多いです。

    強みの例

    • 状況に応じてバランスを取る適応力

    • 自分の困りごとを工夫で乗り越えてきた経験からの問題解決力

    • 視点の多様さから、人の気持ちに寄り添える優しさ


    5. 強みを活かすために大切なこと

    発達障害の方の強みは、理解と環境次第で大きな力に変わります。

    • 苦手なことを無理に克服するよりも、得意なことを伸ばす

    • 周囲が「困難さ」だけに注目せず、強みに目を向ける

    • 本人が自分の特性を理解し、安心して力を発揮できる環境を整える


    まとめ

    発達障害は「欠けているもの」ではなく、異なる才能の表れ方です。

    社会が多様性を受け入れ、個性を尊重することで、誰もが自分らしく生きられる未来が広がります。

    発達障害のある方の強みを活かすことは、本人にとってだけでなく、私たち社会全体にとっても大きな可能性を秘めているのです。

    次回は「発達障害を持つ方と一緒に働く職場での工夫」について紹介します!

    (さらに…)
  • 発達障害を持つ方への具体的なサポート方法 ~日常でできる小さな工夫~

    前回の記事では「発達障害とグレーゾーン」について紹介しました。今回は一歩進んで、発達障害を持つ方への具体的なサポート方法について考えていきます。

    サポートといっても特別なことではなく、小さな工夫や配慮の積み重ねが大きな安心につながります。


    1. コミュニケーションの工夫

    発達障害のある方の中には、会話や相手の気持ちを理解するのが難しい人もいます。

    サポートのポイント

    • 曖昧な表現ではなく、具体的に伝える

    (例:「あとでやって」ではなく「15時になったらこのプリントを提出してね」)

    • 一度に多くを伝えず、短く区切って話す

    • 表情やジェスチャーを添えて伝えると理解しやすい


    2. 環境の調整

    発達障害の方は、音や光、匂いに敏感な場合があります。

    サポートのポイント

    • 静かな場所で集中できる環境を整える

    • 整理整頓しやすい収納方法を一緒に考える

    • 時間割や予定を見える化する(カレンダー、チェックリストなど)


    3. 学習や仕事の工夫

    学習や仕事での「困りごと」には、ちょっとしたツールや仕組みが有効です。

    サポートのポイント

    • 大きな課題は小さなステップに分ける

    • タイマーやアラームを活用して時間管理をサポート

    • ITツール(リマインダー、タスク管理アプリ)を活用する


    4. 感情面のサポート

    発達障害のある方は、失敗体験や周囲からの誤解で自己肯定感が低くなりやすい傾向があります。

    サポートのポイント

    • 「できたこと」に注目して褒める

    • 感情が高ぶったときは無理に話させず、落ち着ける時間や場所を用意する

    • 「あなたのせい」ではなく「やり方を変えてみよう」という声かけを意識する

    5. 支援制度や専門機関の活用

    家族や周囲だけで抱え込まず、専門機関を利用することも大切です。

    • 発達障害者支援センター

    • 医療機関(発達外来・精神科)

    • 就労移行支援や相談支援事業所

    • 学校の特別支援教育コーディネーター

    こうした機関を活用することで、本人や家族の負担を軽減できます。


    まとめ

    発達障害のある方へのサポートは、「特別扱い」ではなく「その人が力を発揮しやすい環境を整える」ことです。

    小さな工夫や声かけの積み重ねが、本人の自信を育み、安心して生活できる社会につながります。

    次回は「発達障害の方が持つ強みや得意なこと」に焦点を当てたポジティブな視点でのブログ記事です!

    (さらに…)
  • PT・OT・STに共通する“リハビリの基本的な考え方”

    福祉や医療現場で活躍するリハビリ専門職、PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)。

    それぞれ専門分野は異なりますが、実は「リハビリの基本的な考え方」には共通点があります。今回は、その共通の理念やアプローチについてわかりやすく解説します。


    1. 利用者本人の「できること」を伸ばす

    リハビリの基本は、できないことに注目するのではなく、できることを最大限に活かすことです。

    • PTは、歩行や関節の動きなど、身体機能の「残っている力」を伸ばす

    • OTは、日常生活動作の中で、利用者が自分で行える部分を増やす

    • STは、発声や嚥下、ことばの力の「残された力」を活かす

    ポイント:小さな「できた」を積み重ねることで、自信と自立心を育てます。


    2. 個別性を重視する

    一人ひとりの状態、年齢、生活環境、目標は異なります。

    リハビリは、その人に合わせたプランで実施することが基本です。

    • PT:筋力や関節の状態に応じた運動プログラム

    • OT:趣味や生活習慣に合わせた作業活動

    • ST:発音や嚥下の困難度に応じた訓練方法

    ポイント:画一的ではなく、オーダーメイドの支援が大切です。


    3. 段階的・継続的アプローチ

    リハビリは、一度で完了するものではありません。

    小さなステップを重ね、段階的に目標を達成することが基本です。

    • まず「座れる」「立てる」など基礎動作を安定させる(PT)

    • 次に「着替えや食事の自立」など日常生活動作を拡張する(OT)

    • ことばや嚥下の訓練も、簡単な動作から徐々に難易度を上げる(ST)

    ポイント:短期的な成果より、長期的に生活の質を高めることが重視されます。


    4. 環境や周囲のサポートを活かす

    リハビリは「本人だけの努力」ではなく、環境や周囲のサポートを組み込むことが大切です。

    • 家具の配置や手すりの設置(PT・OT)

    • 補助具や自助具の活用(OT・ST)

    • 家族や介護職員との協力(PT・OT・ST共通)

    ポイント:生活環境に合った支援が、効果を最大化します。


    5. 安全と負担のバランスを考える

    リハビリは「無理なく、でも挑戦的に」行うことが基本です。

    安全性を確保しつつ、少しずつ挑戦の幅を広げることで、効果的に機能を回復・維持できます。

    • 転倒リスクや誤嚥リスクを評価する

    • 疲労や痛みのサインに注意しながら進める

    • 効果と安全のバランスを常に調整する


    まとめ

    PT・OT・STに共通するリハビリの基本的な考え方は、次の5つです。

    1. 利用者本人の「できること」を伸ばす

    2. 個別性を重視する

    3. 段階的・継続的アプローチ

    4. 環境や周囲のサポートを活かす

    5. 安全と負担のバランスを考える


    いかがでしたでしょうか?

    以上が福祉現場での「PT・OT・ST」についての記事でした。

    これらの考え方を理解すると、介護職員や家族もリハビリの支援方針に沿ったサポートができ、利用者にとってより効果的な生活支援が可能になります。

  • PT・OT・STと介護職員が連携することで生まれる効果とは?

    福祉現場では、介護職員が日々利用者の生活を支えています。

    そこにPT(理学療法士)・OT(作業療法士)・ST(言語聴覚士)が加わり、専門的なリハビリ視点が組み合わさることで、より質の高い支援が実現します。今回は、その具体的な効果についてご紹介します。


    1. 安全性の向上

    介護職員は日常的な介助に長けていますが、PTは「身体の動き」、OTは「生活動作」、STは「飲み込みや言葉」の専門家です。

    連携することで、介助時のリスクを減らし、安全な生活環境を整えることができます。

    • PTと連携:正しい移乗・歩行介助の方法を学ぶことで、転倒や腰痛リスクを軽減。

    • OTと連携:利用者が自分でできる動作を活かし、介助の過不足を防ぐ。

    • STと連携:誤嚥を防ぐ食事介助や適切な声かけが可能に。


    2. 自立支援の推進

    介護職員の「援助する力」と、PT・OT・STの「機能を高める力」が合わさることで、利用者の自立度を引き上げることができます。

    • ベッドからの起き上がりをPTが指導 → 介護職員が日常で継続支援

    • 箸の持ち方をOTが工夫 → 介護職員が食事場面でフォロー

    • 発声練習をSTが実施 → 介護職員が日常会話で取り入れる

    専門的なリハビリが「日常生活の中で実践」されることで効果が長続きします。


    3. 介護職員のスキル向上

    リハビリ職から直接学ぶことで、介護職員自身の介助技術や知識が高まります。

    • 移乗介助のコツを学び、腰痛予防になる

    認知症の方への関わり方がより効果的になる

    嚥下状態の観察ポイントを理解できる

    結果として、介護職員の「専門性」も向上し、やりがいにもつながります。


    4. 利用者・家族の安心感

    「介護職員とリハビリ専門職がチームで支えてくれている」という安心感は、利用者や家族にとって大きな信頼につながります。

    • 専門職の評価に基づいたケア → 家族の納得感

    • チーム全体で情報共有 → 状態の変化に早期対応


    5. チームケアによる相乗効果

    介護とリハビリが連携することで、単独では実現しにくい「相乗効果」が生まれます。

    • 生活の質(QOL)の向上:介護だけでもリハビリだけでもなく、両方の力で「その人らしい生活」を実現。

    • 職員同士の負担軽減:互いに知識や方法を共有し、ケアの効率化につながる。


    まとめ

    PT・OT・STと介護職員が連携することで、

    • 安全性の向上

    • 利用者の自立支援

    • 介護職員のスキルアップ

    • 利用者・家族の安心感

    が得られます。

    介護とリハビリが一体となった「チームケア」は、福祉現場において欠かせない仕組みです。

    今後も現場では、この連携を強化することが利用者の生活の質を高める鍵となるでしょう。

    次回は「PT・OT・STに共通する“リハビリの基本的な考え方”」をテーマにした記事です!

    (さらに…)
  • PT・OT・STに実際に相談するにはどうすればいいのか?

    「リハビリを受けたい」「日常生活で困っていることを相談したい」と思ったとき、PT(理学療法士)・OT(作業療法士)・ST(言語聴覚士)にどうやってつながればよいのでしょうか?

    今回は、具体的な相談の流れや利用方法をご紹介します。


    1. 医療機関での相談

    最も多いのは、病院やクリニックを通じてリハビリを受ける方法です。

    • 対象:病気やケガで身体機能や言語機能に障害がある方

    • 流れ:

     ① 医師に症状や困りごとを伝える

     ② 医師の指示によりPT・OT・STがリハビリを開始

     ③ 定期的に評価を行い、目標に沿って支援を継続

    ポイント:リハビリは医師の指示が必要になるため、まずは主治医に相談しましょう。


    2. 介護保険サービスを利用する

    高齢の方や要介護認定を受けている方は、介護保険サービスを通じてリハビリを利用できます。

    • デイケア(通所リハビリテーション)

     施設に通い、PT・OT・STのリハビリを受ける。

    • 訪問リハビリ

     自宅に専門職が訪問し、生活環境に合わせたリハビリを実施。

    • ケアマネジャーへの相談

     利用したい場合は、まず担当のケアマネジャーに「リハビリを受けたい」と伝えましょう。

    ポイント:介護保険を利用する場合は、「要支援・要介護認定」が必要です。


    3. 障害福祉サービスを利用する

    発達障害や身体障害などをお持ちの方は、障害福祉サービスを通じてリハビリを利用できます。

    • 児童発達支援・放課後等デイサービス

    発達に課題のあるお子さんに対して、STによることばの訓練やOTによる感覚統合の支援を実施。

    • 就労支援施設や生活介護施設

     PT・OTが日常生活や就労のための動作訓練を行う。

    ポイント:市区町村の福祉課や相談支援事業所に問い合わせるとスムーズです。


    4. 自費リハビリ(保険外サービス)

    近年では、保険にとらわれない自由なリハビリを提供する「自費リハビリ施設」も増えています。

    • 保険の制限なく、時間をかけてリハビリができる

    • 退院後や介護保険サービスだけでは物足りない方に人気

    • 完全予約制の施設も多い

    ポイント:費用は自己負担ですが、希望に合わせた柔軟なリハビリが可能です。


    5. 相談の第一歩は「困りごとを整理する」こと

    「歩くのが不安」「食べづらい」「ことばが出にくい」など、自分や家族の困りごとを言葉にしてみることが大切です。

    それを医師・ケアマネジャー・相談支援員に伝えることで、PT・OT・STへスムーズにつながります。


    まとめ

    PT・OT・STに相談するには、

    • 医療機関(医師の指示によるリハビリ)

    • 介護保険サービス(ケアマネジャーに相談)

    • 障害福祉サービス(自治体や相談支援事業所に問い合わせ)

    • 自費リハビリ(保険外で自由に利用)

    といった方法があります。

    「こんなこと相談してもいいのかな?」と思う小さな悩みでも、リハビリ専門職にとっては重要なサインです。

    まずは身近な医師やケアマネジャー、相談支援員に声をかけてみましょう。

    次回は「PT・OT・STと介護職員が連携することで生まれる効果」をテーマにした記事です!

    (さらに…)