カテゴリー: 心技体の体

  • チーム全体で取り組む職員の健康管理~福祉現場での安全・安心な支援のために~

    福祉の仕事は、心身ともに負担が大きい分野です。

    一人ひとりのセルフケアは大切ですが、「チーム全体で支える仕組み」 が整っているかどうかが、長期的な健康維持のカギとなります。

    ここでは、職員の健康管理をチーム全体で取り組むためのポイントを整理します。


    1. 健康管理を「組織の課題」として捉える

    • 職員の健康は「個人の責任」ではなく「組織の基盤」

    • 健康でなければ、質の高い支援も安全も守れない

    • 管理職やリーダーが「健康を守る文化」を発信することが大切


    2. 職場内でのチェック体制

    • 定期的な体調確認(朝のミーティングやシート記入)

    • 無理をしているサインを共有(残業の多さ・疲労の訴え・遅刻増加など)

    • 休む勇気を持てる雰囲気づくり(「休んでいいよ」と言えるチーム風土)


    3. 情報共有と支え合い

    • 健康に関する勉強会や研修の実施

    • セルフケアの工夫をチーム内でシェア

    • ストレスチェックの結果を職場改善につなげる


    4. 勤務環境の工夫

    • シフト調整を柔軟に行い、過重労働を防ぐ

    • 定期的に休暇を取れるように計画を立てる

    • 職場に「休憩の質」を高める工夫(仮眠スペース、リフレッシュコーナーなど)


    5. メンタルヘルス支援

    • 定期的なメンタルヘルス研修

    • 職場内での相談窓口やEAP(従業員支援プログラム)の活用

    • 「相談できる先輩・上司」を明確にしておく


    6. チームでできるアクション例

    • 「お疲れさま」「ありがとう」を伝える習慣

    • 月1回の「健康テーマミーティング」

    • 体調不良時は無理に出勤させず、代替支援の体制を整える

    • 健康に関するポスターや掲示物を共有スペースに貼る


    まとめ

    職員の健康は、利用者さんの安全・安心な生活と直結しています。

    「セルフケア+チームケア」 の両輪で取り組むことで、福祉現場全体の持続可能性が高まります。

    健康管理は一人で抱えるものではなく、「チーム全体の資産」 であることを意識しましょう。


    研修用ワークの例(おすすめ)

    記事を研修で使う際は、以下の問いを取り入れると実践的です。

    1. 「最近、職場で体調不良や疲労を抱えている人はいませんか?」

    2. 「自分ができる“チームの健康を守る一歩”は何ですか?」

    3. 「職場全体で改善できそうな工夫は何ですか?」

  • 福祉職員が自分の免疫力を守るためにできるセルフケア

    福祉現場では、日々多くの利用者さんと関わり、感染症リスクや体力的・精神的な負担を受けやすい環境にあります。

    そのため、職員自身が健康を守り、免疫力を維持することが、利用者さんへの安心・安全な支援につながります。

    ここでは、福祉職員が取り入れやすいセルフケアのポイントを紹介します。


    1. 基本の生活習慣を整える

    • バランスの良い食事

    • タンパク質(肉・魚・卵・豆類)、野菜、発酵食品を意識

    • 甘い物や加工食品の摂りすぎに注意

    • 十分な睡眠

    • シフト勤務でも規則正しい睡眠リズムを意識

    • 寝る前のスマホ・カフェインは控える


    2. ストレスをためすぎない

    • セルフモニタリング

    • 「最近疲れている」「イライラが増えた」など自分の心の変化を振り返る

    • リフレッシュ法を持つ

    • 軽い運動、趣味の時間、深呼吸、マインドフルネスなど

    • 職場内で相談しやすい環境づくり

    • チームで支え合い、ひとりで抱え込まない


    3. 適度な運動を取り入れる

    • 筋力トレーニング:体力維持と基礎代謝アップに効果的

    • 有酸素運動:ウォーキングや軽いジョギングで免疫細胞の働きを活性化

    • ストレッチ:肩こり・腰痛の予防にも


    4. 感染症予防の徹底

    • 手洗い・うがい・マスクの習慣化

    • 予防接種の積極的な利用(インフルエンザ・コロナワクチンなど)

    • 疲れているときこそ感染に注意


    5. 栄養と水分補給を意識する

    • 水分:こまめな水分補給(カフェインではなく水やお茶を中心に)

    • 栄養補助:サプリや栄養ドリンクに頼りすぎず、まずは日常の食事から


    6. 自己チェックを習慣にする

    • 体調日誌を簡単にメモ(睡眠時間・体調・気分など)

    • 免疫低下のサイン(疲れやすい・風邪をひきやすいなど)に早く気づく

    • 必要があれば 医療機関で早めに相談


    まとめ

    福祉職員が自分の健康を守ることは、決して「わがまま」ではありません。

    むしろ 利用者さんに安心して支援を届けるための土台 です。

    「休む勇気」「助けを求める勇気」も、セルフケアの一部として大切にしていきましょう。


    次回は「研修用資料」としても使える形で、チーム全体で取り組む職員の健康管理 をテーマに記事をまとめました。

    チーム全体で取り組む職員の健康管理~福祉現場での安全・安心な支援のために~

  • 福祉現場での「免疫力低下サイン」の観察と支援のポイント

    免疫力の低下は、利用者さんの健康状態を左右する大きな要因です。

    福祉現場では、医療機関のような検査設備がないことが多いため、日々の観察と記録 がとても重要になります。

    ここでは、前回紹介した免疫力低下のサインをもとに、現場での観察・支援方法を整理していきます。


    1. 風邪や感染症にかかりやすい場合

    • 観察ポイント:発熱、咳、鼻水、のどの痛みなどの有無を日々チェック。

    支援方法:

    • 室内の換気や加湿を徹底する

    • 手洗い・うがい・マスクの声かけ

    • 感染症流行期には外出や集団活動の工夫


    2. 傷や皮膚の治りが遅い場合

    • 観察ポイント:小さな擦り傷や床ずれの経過を写真や記録で確認。

    支援方法:

    • 清潔保持と適切な処置を行う

    • 栄養(特にタンパク質やビタミン)を意識した食事支援

    • 医療機関への早めの連携


    3. 疲れやすさ・倦怠感が続く場合

    • 観察ポイント:日中の眠気や活動量の減少を見守る。

    支援方法:

    • 適度な休憩時間を確保

    • 睡眠環境の整備(静かな環境・照明調整)

    • 無理のない運動習慣をサポート


    4. 口内炎やヘルペスが繰り返し出る場合

    • 観察ポイント:口腔内の状態や食事中の痛みの訴えをチェック。

    支援方法:

    • 口腔ケアを丁寧に行う

    食べやすい形態(やわらかい・刺激の少ない食事)を工夫

    • 繰り返す場合は医師へ相談


    5. 腸の不調(便秘・下痢)が続く場合

    • 観察ポイント:排便の回数・性状を日誌で記録。

    支援方法:

    • 水分摂取を促す

    • 食物繊維や乳酸菌を取り入れた食事提供

    • 長引く場合は受診を勧める


    6. 睡眠の質の低下が見られる場合

    • 観察ポイント:夜間の覚醒回数、昼間の眠気を記録。

    支援方法:

    • 就寝前の環境調整(照明・音・温度)

    • 日中の活動量を増やして自然な眠気を促す

    • 睡眠薬使用の有無を確認し、必要に応じて医師へ報告


    7. 気分の落ち込み・ストレスが見られる場合

    • 観察ポイント:表情・言動の変化、元気の有無を見守る。

    支援方法:

    • 気持ちを受け止める傾聴

    • 趣味活動や交流の機会を提供

    • 必要に応じて心理士や主治医と連携


    まとめ

    福祉現場での免疫力低下サインの観察・支援は、

    • 日々の小さな変化に気づくこと

    • 記録を積み重ねること

    • 医療との連携を適切に行うこと

    が基本となります。

    利用者さん自身が「なんとなく調子が悪い」と訴えにくい場合もあるため、職員の観察眼と支援の工夫が健康維持のカギになります。


    次回は続編として、利用者さんだけでなく 福祉職員自身の免疫力を守るセルフケア に焦点を当てた記事を作成しました。

  • 免疫力が低下しているサインとは?

    私たちの体は、日々ウイルスや細菌などの外敵から守られています。

    しかし、生活習慣の乱れや加齢、ストレスなどによって免疫力が下がると、体はさまざまなサインを出し始めます。

    福祉の現場でも、利用者さんや職員の健康管理において「免疫力の低下を早めに気づくこと」がとても大切です。


    1. 風邪や感染症にかかりやすくなる

    • ちょっとした気温差で風邪をひく

    • インフルエンザや胃腸炎などが流行するとすぐに感染してしまう

    免疫力低下の最も分かりやすいサイン です。


    2. 傷や皮膚の治りが遅い

    • 転んだ後のすり傷がなかなか治らない

    • 褥瘡(床ずれ)の回復が遅い

    免疫細胞の働きが弱まっている可能性があります。


    3. 疲れやすい・倦怠感が続く

    • 休んでも疲れが取れない

    • 体がだるく、やる気が出ない

    慢性的な疲労は、免疫力が落ちているサインのひとつです。


    4. 口内炎やヘルペスが繰り返し出る

    • 口の中に何度も口内炎ができる

    • 唇にヘルペスが再発する

    免疫機能が低下すると、潜伏していたウイルス が活動を始めます。


    5. 腸の不調(便秘・下痢)

    • お腹の調子が整わない

    • 便秘や下痢を繰り返す

    腸は「免疫の要」と呼ばれるほど大事な臓器。腸内環境の乱れは免疫低下のサインです。


    6. 睡眠の質の低下

    • 夜中に何度も目が覚める

    • 眠っても疲れが取れない

    睡眠不足は免疫細胞の回復を妨げ、免疫低下の悪循環を生みます。


    7. 気分の落ち込み・ストレス過多

    • なんとなく憂うつ

    • 不安や緊張が続く

    精神的なストレスは自律神経を乱し、免疫を大きく下げます。


    まとめ

    免疫力が低下しているときのサインは、

    • 風邪や感染症にかかりやすい

    • 傷や皮膚の治りが遅い

    • 慢性的な疲労や倦怠感

    • 口内炎やヘルペスの再発

    • 腸の不調

    • 睡眠の質の低下

    • 気分の落ち込み

    といった形で現れます。

    「なんとなく調子が悪い」と感じるときは、免疫力の低下が隠れているかもしれません。

    早めに生活習慣を見直し、必要に応じて医療機関を受診することが大切です。


    次回は続編として、今回まとめた 「免疫力低下のサイン」 を、福祉現場でどのように観察し、支援につなげていくかに焦点をあてた記事を作成しました。

    福祉現場での「免疫力低下サイン」の観察と支援のポイント

  • 免疫機能を高めるためにできる生活習慣

    私たちの体を病気から守ってくれる免疫機能。

    しかし、ストレスや生活リズムの乱れ、加齢などによって免疫力は低下してしまいます。福祉の現場でも「風邪をひきやすい」「なかなか回復しない」といった方がおり、その背景には免疫機能の低下が関わっていることも少なくありません。

    では、免疫を高めるためにはどのような生活習慣が大切なのでしょうか?


    1. 栄養バランスの取れた食事

    • たんぱく質(肉・魚・卵・大豆) … 免疫細胞の材料になる

    • ビタミンC(野菜・果物) … 白血球の働きをサポート

    • ビタミンD(魚・きのこ・日光浴) … 免疫力を調整する

    • 発酵食品(納豆・ヨーグルト・漬物) … 腸内環境を整え、免疫の約7割を担う腸を元気にする

    偏食を避け、「主食・主菜・副菜」を意識するだけでも免疫力はアップします。


    2. 質の良い睡眠

    • 睡眠中に分泌される 成長ホルモンやメラトニン は免疫機能を整える

    • 睡眠不足は白血球の働きを弱め、感染症にかかりやすくなる

    • 高齢者や福祉施設の利用者さんは 昼夜逆転や中途覚醒 に注意が必要

    規則正しい睡眠リズムを整えることが免疫力の回復につながります。


    3. 適度な運動

    • 軽いウォーキングや体操は血流を促し、免疫細胞が体内を巡りやすくなる

    • 運動不足 → 免疫低下

    • 過度な運動 → 逆に免疫力を下げてしまう

    福祉施設では、無理のない範囲で「毎日の体操」や「散歩」を取り入れることが大切です。


    4. ストレス管理

    • 強いストレスは自律神経を乱し、免疫機能を抑制する

    • 笑いやリラックスは免疫細胞を活性化することが研究でわかっています

    「利用者さんが安心できる環境」「人との交流の機会」も免疫力の維持に役立ちます。


    5. 感染予防の基本

    免疫力を高めることに加えて、外からの感染を防ぐ工夫 も重要です。

    • 手洗い・うがい・マスクの活用

    • 予防接種(インフルエンザ、肺炎球菌など)

    • 室内の湿度管理

    免疫を守る土台として、日常の予防行動を徹底しましょう。


    まとめ

    免疫機能を高めるためには、特別なことよりも 日々の生活習慣を整えること が大切です。

    • バランスの良い食事

    • 良質な睡眠

    • 適度な運動

    • ストレスのケア

    • 基本的な感染予防

    これらを積み重ねることで、利用者さんも職員も元気に過ごすことができます。


    今回の「免疫機能を高める生活習慣」の続編として、次回は 「免疫力が低下しているサイン」 の記事です!

  • 福祉の世界における「身体拘束適正化」とは?~人権を守りながら安心・安全な支援を目指す~

    1. 身体拘束とは何か

    介護や福祉の現場でいう「身体拘束」とは、利用者の行動を制限し、自由を奪う行為を指します。

    代表的な例としては、

    • ベッドから落ちないように手足を縛る

    • 転倒を防ぐために車椅子や椅子にベルトで固定する

    • 徘徊を防ぐために居室や施設の出入りを制限する

    といった行為があります。

    一見すると「安全のため」と思えるかもしれませんが、利用者の人権を大きく制限する行為であり、心身に大きな負担を与えるリスクがあるため、原則として禁止されています。


    2. 身体拘束が禁止されている理由

    (1) 人権の尊重

    身体拘束は「その人らしく生きる自由」を奪います。尊厳を重んじる福祉の理念に反するため、介護保険法や障害者総合支援法に基づくガイドラインでも禁止が明記されています。

    (2) 身体・心理的な悪影響

    • 筋力低下や褥瘡(床ずれ)の発生

    • 不眠や意欲の低下

    • 強い不安や恐怖心、抑うつ症状

    などが報告されています。

    (3) 福祉現場の信頼性

    身体拘束は「虐待」と捉えられる場合があり、利用者や家族、地域社会からの信頼を大きく損ないます。


    3. 例外的に認められる場合

    完全にゼロにすることが難しい状況も存在します。厚生労働省は「やむを得ない場合」として、次の 3つの要件 を満たした場合のみ身体拘束を認めています。

    1. 切迫性:利用者本人や他者の生命や身体が危険にさらされる可能性が高い

    2. 非代替性:他に方法がなく、どうしても拘束以外に安全を守る手段がない

    3. 一時性:拘束は必要最小限の時間に限られ、すぐに解除を検討する

    つまり「最後の手段」としてのみ認められるものです。


    4. 身体拘束適正化のための取り組み

    福祉現場では「身体拘束ゼロ」を目指す取り組みが進められています。そのポイントは以下の通りです。

    • リスクアセスメント:転倒や徘徊のリスクを事前に評価し、本人の状態に合った支援方法を考える

    • 環境の工夫:ベッドの高さ調整、見守りセンサーの導入、居室の配置変更など

    • ケアの工夫:声かけやスキンシップを増やす、日中の活動量を確保して夜間の安眠を促す

    • 職員の意識改革:研修や事例検討会を通して「本当に必要か?」を常に問い直す


    5. 家族や地域に求められる理解

    身体拘束をしない支援は、職員だけでなく家族や後見人、地域の理解も不可欠です。

    「転倒が心配だから縛ってほしい」といった要望は一見合理的に思えますが、長期的には本人に不利益をもたらします。

    福祉の現場と家族が「安全」と「尊厳」の両立を一緒に考えていくことが大切です。


    まとめ

    身体拘束適正化とは、「利用者の命を守ること」と「その人らしく生きる権利を守ること」を両立させる取り組みです。

    「安全のためだから仕方ない」と思われていた時代から、「どうすれば拘束をしないで済むのか」を考える時代へと変わってきています。

    福祉に関わる私たち一人ひとりが、「その人の尊厳を守るために何ができるか」を常に問い直すことが、真の意味での身体拘束適正化につながります。

  • 細菌感染とウイルス感染の違いとは?わかりやすく解説!

    「風邪をひいた」「感染症にかかった」というとき、その原因は大きく分けて 細菌 と ウイルス の2種類があります。

    しかし、この2つはまったく性質が異なるもので、治療の方法も大きく変わってきます。今回は、細菌感染とウイルス感染の違いをわかりやすく整理してみましょう。


    1. 細菌とは?

    • 大きさ:1ミクロン(1/1000ミリ)程度。顕微鏡で見ることができる。

    • 特徴:自分で栄養を取り込み、分裂して増えることができる「生き物」。

    • 例:大腸菌、ブドウ球菌、結核菌など。

    つまり細菌は「自分で生きていける」存在です。人間や動物の体内だけでなく、土や水の中など自然界のあらゆる場所に存在しています。


    2. ウイルスとは?

    • 大きさ:細菌よりずっと小さく、0.02〜0.2ミクロン程度。

    • 特徴:自分だけでは増えられず、生物の細胞に入り込み、その仕組みを利用して増える。

    • 例:インフルエンザウイルス、コロナウイルス、ノロウイルスなど。

    ウイルスは「単独では生きられない」存在です。細胞に入り込んでコピーをつくらせることでしか増えることができません。


    3. 感染の症状の違い

    細菌感染

    ・高熱が続く

    ・膿がたまる

    ・のどの強い痛みや尿路感染など、局所的な症状が出やすい

    ウイルス感染

    ・発熱や倦怠感、鼻水や咳など全身に広がることが多い

    ・特効薬が少なく、自然に免疫で治る場合が多い

    ただし症状だけで「細菌かウイルスか」を見分けるのは難しく、医師の診断が必要です。


    4. 治療法の違い

    • 細菌感染 → 抗生物質(抗菌薬)が有効

    例:肺炎、膀胱炎、化膿した傷口など

    • ウイルス感染 → 抗生物質は効かない

    例:風邪、インフルエンザ、新型コロナなどは、体の免疫が戦うのを助ける対症療法が中心。特定の薬(抗ウイルス薬)がある場合もある。


    5. 予防のポイント

    細菌・ウイルス共通

    ・手洗い・うがい

    ・十分な睡眠と栄養で免疫力を保つ

    ・換気やマスクでの飛沫予防

    ウイルス特有の予防

    ・ワクチン接種(インフルエンザや新型コロナなど)


    まとめ

    • 細菌:自分で増える「生き物」。抗生物質が効く。

    • ウイルス:細胞に入り込んで増える存在。抗生物質は効かない。

    • 感染症の治療法や予防法は原因によって大きく異なる ため、自己判断せず、医師に相談することが大切です。


    以下の記事も合わせて読んで頂くと理解が深まると思います!

    福祉領域における血液検査結果の「WBC」と「CRP」の重要性とは?

  • 誤嚥性肺炎とは?予防のためにできること

    高齢者や障害のある方の健康を大きく左右する病気のひとつに「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」があります。

    介護の現場ではよく耳にしますが、どのような病気で、どんな予防ができるのでしょうか?


    誤嚥性肺炎とは?

    「誤嚥」とは、本来は胃に送られるべき食べ物や飲み物、さらには唾液や胃液が 誤って気管や肺に入ってしまうこと を指します。

    このとき口の中の細菌も一緒に肺へ入ってしまい、炎症を起こすのが「誤嚥性肺炎」です。

    特に高齢者では、

    嚥下機能(飲み込む力)の低下

    • 免疫力の低下

    • 口腔内の細菌増加

    が重なり、発症しやすくなります。


    誤嚥性肺炎が起こりやすい場面

    • 食事中にむせてしまうとき

    • 水分を飲んだときに咳き込むとき

    • 夜間の睡眠中(唾液や胃液の逆流による)

    見過ごされやすいのは「気づかない誤嚥(不顕性誤嚥)」です。

    むせなくても少しずつ肺に入り込み、繰り返すうちに肺炎につながるケースがあります。


    予防のためにできること

    1. 姿勢の工夫

    • 椅子に深く腰掛け、背中をまっすぐに

    • 顎を軽く引いて飲み込む

    • 食後30分は横にならず、座って休む

    2. 食事の工夫

    • とろみをつける(水やお茶などはむせやすい)

    • 柔らかく飲み込みやすい調理法にする

    • 一口の量を少なくする

    3. 口腔ケア

    • 毎食後の歯磨きやうがい

    • 義歯の洗浄

    • 専門職(歯科衛生士など)による口腔ケア

    口の中を清潔に保つことは、肺炎予防に直結します。

    4. 嚥下リハビリ

    • 発声練習(パ・タ・カ・ラ体操)

    • 舌や頬の運動

    嚥下体操(首・肩のストレッチも有効)

    5. 全身の健康管理

    • 水分・栄養をしっかりとる

    • 運動習慣で体力を維持する

    • かかりつけ医やST(言語聴覚士)への相談


    誤嚥性肺炎を防ぐ意味

    誤嚥性肺炎は 入院・長期療養の原因 となるだけでなく、繰り返すことで生活の質を大きく下げてしまいます。

    しかし、日常のちょっとした工夫やケアによって、リスクを大きく減らすことができます。

    介護の現場では「むせ=危険サイン」ととらえ、本人の生活スタイルに合わせた支援を続けることが大切です。


    まとめ

    • 誤嚥性肺炎 は、誤って気管に入った食べ物や唾液の細菌で肺炎が起こる病気

    • 食事中だけでなく、睡眠中の「気づかない誤嚥」も要注意

    • 予防のポイントは 姿勢・食事形態・口腔ケア嚥下リハビリ・健康管理

    • 介護現場での支援は「安心して食べること」「生活の質を守ること」につながる

  • 介護福祉の現場で大切な「摂食」と「嚥下」について

    食べることは、誰にとっても生きる喜びのひとつです。

    しかし高齢になると、噛む力や飲み込む力が弱くなり、「うまく食べられない」「むせてしまう」といった問題が起こることがあります。介護の現場では「摂食(せっしょく)」と「嚥下(えんげ)」という専門的な言葉をよく使います。ここではその意味と支援の工夫についてご紹介します。


    摂食とは?

    「摂食」とは、食べ物を口に運び、噛んで、飲み込む一連の動作を指します。

    スプーンで口に入れる、舌で食べ物をまとめる、奥歯で噛む、といった一つひとつの動きが含まれます。

    高齢者や障害のある方の場合、以下のような課題が起こりやすくなります。

    • 手が震えてうまく口に運べない

    • 入れ歯が合わず噛めない

    • 食欲が落ちてしまう

    こうした「食べる力」の支援は、介護職員だけでなく、歯科や栄養士とも連携しながら行います。


    嚥下とは?

    「嚥下」とは、口の中の食べ物や飲み物を喉を通して胃に送り込む働きです。

    実は嚥下の動きはとても複雑で、舌・喉・食道が連携して初めてスムーズに行われます。

    嚥下機能が弱まると、以下のようなリスクが高まります。

    • 食べ物や水分が気管に入ってしまう(誤嚥)

    誤嚥による肺炎(誤嚥性肺炎)

    • 栄養不足や脱水

    このため介護現場では「安全に飲み込めるか」を常に観察し、適切な食形態や姿勢を工夫することが欠かせません。


    介護現場での工夫

    摂食・嚥下に課題のある方への支援は、一人ひとりに合わせた工夫が必要です。

    1. 食事形態の工夫

    • きざみ食:噛む力が弱い人向けに小さく刻む

    • ミキサー食:なめらかにして飲み込みやすくする

    • とろみ調整:水分にとろみをつけて誤嚥を防ぐ

    2. 姿勢の工夫

    • 椅子に深く腰掛けて少し前かがみにする

    • 顎を軽く引いて飲み込む(誤嚥予防)

    3. リハビリの工夫

    • 嚥下体操(舌や頬を動かす練習)

    • 発声練習(「パ・タ・カ・ラ体操」など)


    摂食・嚥下支援の大切さ

    摂食・嚥下は「栄養をとる」だけでなく、**食べる楽しみ・生活の質(QOL)**にも大きく関わります。

    介護福祉の現場では、本人が「最後まで自分らしく食べられるように」支えることが重要な役割です。


    まとめ

    • 摂食=食べ物を口に入れ、噛み、まとめること

    • 嚥下=口から喉・食道を通って胃に送り込むこと

    • 支援では「食形態」「姿勢」「リハビリ」の工夫が大切

    • 誤嚥や栄養不足を防ぎ、安心して「食べる喜び」を守ることが介護福祉の使命


    「摂食・嚥下」に続くシリーズ記事として、次回は介護福祉の現場で大きなテーマとなる誤嚥性肺炎について、わかりやすくまとめた記事を作りました。

    (さらに…)
  • 強度行動障害とは?~支援が必要な“行動の困難さ”を理解する~

    1. 強度行動障害とは

    強度行動障害とは、知的障害自閉症スペクトラム障害などを持つ人の中で、日常生活に強い困難をもたらす行動上の特徴が見られる状態を指します。

    単なる「困った行動」ではなく、本人の安心・安全や周囲の生活にも大きな影響を与えるため、専門的な支援が必要とされています。


    2. 具体的にどんな行動?

    強度行動障害には、次のような行動が含まれることが多いです。

    • 自傷行為:頭を叩く、皮膚をかきむしる、噛む など

    • 他害行為:人を叩く、物を壊す、強く押す など

    • 常同行動:同じ動作を繰り返す、物を並べ続ける など

    • パニック行動:大声を出す、急に走り出す、暴れる など

    • 著しい拒否行動:食事や着替えを強く拒否する、移動を嫌がる など

    👉 これらは本人が「つらさ」や「不安」「感覚の過敏・鈍麻」を表現しているサインとも考えられます。


    3. なぜ起こるの?

    強度行動障害は、本人の特性や環境との相互作用の中で現れます。

    背景には次のような要因が重なっていることが多いです。

    • コミュニケーションの困難

    → 言葉で伝えられず、行動で気持ちを表している

    • 感覚過敏・感覚鈍麻

    → 音や光に過敏、または痛みを感じにくいなど

    • 生活リズムの乱れや環境の変化

    → 予定の変更や人混みが苦手

    • ストレスや不安

    → 頼れる人がいない、理解されない不安


    4. 支援の考え方

    強度行動障害のある方に対しては、行動そのものを「抑え込む」のではなく、行動の背景を理解し、安心して暮らせる環境を整えることが大切です。

    主な支援のポイント

    • 原因やきっかけを分析する

    (行動が起きる前の状況・環境を記録する)

    • 安心できる環境づくり

    (静かな場所、予測可能なスケジュール)

    • コミュニケーション手段を増やす

    (絵カード、ジェスチャー、ICTの活用)

    • 本人の強みや好きな活動を活かす

    (音楽や運動など安心できる活動を取り入れる)

    • 専門職や支援制度の活用

    行動援護短期入所、強度行動障害支援者養成研修を受けたスタッフの配置)


    5. 社会の取り組み

    日本では、強度行動障害のある方への支援を広げるために、以下のような制度や研修があります。

    • 強度行動障害支援者養成研修

    → 支援者が専門的な知識・技術を学ぶための研修

    行動援護サービス

    → 外出時の安全確保や日常生活の支援を行う制度

    • 地域生活支援拠点

    → 緊急時や在宅支援の受け皿になる仕組み


    まとめ

    • 強度行動障害とは、日常生活に強い影響を与える行動上の困難さを持つ状態。

    • 背景には「伝えたい気持ち」や「感覚特性」が隠れていることが多い。

    • 支援は「行動を抑える」よりも「安心できる環境づくり」と「理解」が重要。

    • 専門的な研修や制度が整いつつあり、地域で暮らすための支えが広がっている。