1. てんかんってどんな病気?
てんかんは、脳の神経が一時的に異常な電気活動を起こすことで発作が繰り返される病気です。世界人口のおよそ1%に見られるといわれ、決して珍しい病気ではありません。
「発作=倒れる」というイメージを持つ方も多いですが、実際には発作のタイプはさまざまで、数秒間ぼーっとするだけの軽いものから、全身が硬直したりけいれんしたりするものまで幅があります。
2. てんかん発作の主な種類
てんかん発作は大きく「部分発作」と「全般発作」に分けられます。
• 部分発作(焦点発作)
脳の一部分で異常が起きる発作。意識があるまま体の一部がピクピクすることもあれば、短時間意識がぼんやりすることもあります。
• 全般発作
脳全体に異常が広がる発作。突然倒れて全身が硬直・けいれんする「強直間代発作」や、数秒間意識が飛ぶ「欠神発作」などがあります。
発作の見え方が人によって大きく異なるため、「てんかん=こういう症状」と一概には言えません。
3. 発作が起きたときの対応
てんかん発作は突然起こることがありますが、正しい対応を知っていれば落ち着いて行動できます。
• あわてず、安全を確保する(周囲の危険物をどける)
• 無理に体を押さえつけない
• 口に物を入れない(舌を噛むのを防ぐために物を入れるのは危険)
• 発作の時間を測る(5分以上続く場合は救急要請)
• 発作が収まったら横向きにして呼吸を確保する
ほとんどの場合、発作は数分以内で自然に治まります。大切なのは「見守り」と「安全の確保」です。
4. 治療と日常生活
てんかんは薬による治療で多くの場合コントロールが可能です。発作が安定していれば学校や職場、スポーツ、旅行などもふつうに楽しめます。
ただし、睡眠不足や飲酒、強いストレスなどが発作のきっかけになることがあるため、生活リズムを整えることが大切です。
5. 偏見をなくして支え合う社会へ
「てんかん」という言葉にまだ偏見や誤解が残っているのも現実です。しかし正しい知識を知れば、「怖い病気」ではなく「コントロールできる病気」だと理解できます。
周囲の人が発作への対応を知り、安心して過ごせる環境を整えることは、本人にとっても大きな力になります。
まとめ
てんかんは誰にでも起こり得る病気で、正しい対応を知っていれば安心です。もし身近で発作が起きても、落ち着いて「安全を守る」ことを意識してください。そして、偏見ではなく理解とサポートで支えていける社会を目指していきましょう。
次回は 「職場や学校でのてんかんのある人への支援方法」 に焦点をあてた続編の記事を用意しました。