福祉道の心得②「エッセンシャルワーカーである」

ようこそ、対人援助を学べるバーチャル道場「福祉道」へ。

ここでは、対人援助職と呼ばれる福祉の仕事に10年間携わっていた私の経験から得た支援の知識とノウハウを独自の視点を交えて分かりやすくお伝え出来ればと思っています。福祉をはじめ、子育てや教育、医療、そしてすべての人間関係に活かせる内容でもありますので、ぜひ習得してみてください!

※詳しい自己紹介はこちらの記事に書きましたので読んで頂ければと思います。


福祉道の心得は以下の3つです。

対人援助職である

エッセンシャルワーカーである

心技体の備わった人間力が大切である

※福祉道の心得の概要はこちらの記事にまとめていますので合わせて読んで頂けたらと思います。


エッセンシャルワーカーとは

そして今回は、福祉道の心得の2つ目「エッセンシャルワーカーである」について詳しくお話しをしていきます。

エッセンシャルワーカーという言葉に聞き馴染みがない方もいらっしゃるかもしれませんが、この言葉は新型コロナウイルスが世界的に流行している最中、感染リスクを負いながら現場で働く人たちに対してよく使われていました。

エッセンシャルワーカーは、福祉をはじめ医療や運送など日常生活を維持するうえで必要不可欠な仕事であり、対人援助職と同じく人間の生活を支えるインフラと表現できます。

2020年からの数年間は新型コロナウイルスが流行している状況ではありましたが、私自身もそのような仕事をしていましたので、2021年に緊急事態宣言の際も普段と変わらず電車で通勤をしていました。

私の職場は横浜市内にありました。いつもは駅のホームに学生やサラリーマンなどが行き交い、まさしく通勤ラッシュといった状況ではありました。

しかし、緊急事態宣言が出ている期間中は駅のホームも電車もガラガラで、まるで自分だけ違う世界に取り残されてしまったような虚無感がありました。

ですが、振り返ってみると、利用者さんやご家族、同じ職場で働くスタッフらをはじめ、自分のやっていることが社会から求められているという使命感もあいまって、社会との繋がりを意識することができ孤立せずにいることが出来たのだなと感じます。

エッセンシャルワーカーは、マクロで見ると社会機能を維持させる仕事で、ミクロで見ると人間活動を維持させるために必要不可欠な最前線の仕事です。人に向き合う仕事だからこそ私はそこに人間力が求められていくと考えています。


職種の例と特徴

職種の例

• 医療・福祉:医師、看護師、介護職員、福祉職員など

• 生活インフラ:電気・水道・ガス・通信の維持に関わる職員

• 運輸・物流:配送ドライバー、郵便配達員、鉄道やバスの運転士など

• 小売・飲食:スーパーやコンビニの店員、食品を扱う工場や流通関係

• 公共サービス:ごみ収集員、警察官、消防士など

特徴

• 「社会を止めない」ために不可欠な職種

• 多くは人と人が直接かかわる仕事

• 低賃金・労働過重が問題視されることも多い

• 社会的には感謝されやすいが、待遇改善が課題


対人援助職とエッセンシャルワーカーの関係

対人援助職とエッセンシャルワーカーは同じものなのではないかと感じる方もいるかもしれません。共通している部分もありますが、その違いについて説明させて頂きます。

• 対人援助職の多く(医療・福祉・教育)は、同時にエッセンシャルワーカーでもある

• ただし「対人援助職」は「人を支援すること」を専門性とする職業群

• 「エッセンシャルワーカー」は「社会を維持するために必要な職業群」という社会的区分

つまり、

• 「対人援助職」は 専門職としての性質 を強調

• 「エッセンシャルワーカー」は 社会における必要性 を強調

という違いがあります。


課題と展望

• 待遇の改善:社会的に重要視される一方、低賃金・人手不足が深刻

• メンタルケア:ストレス・燃え尽き症候群(バーンアウト)を防ぐ仕組みが必要

• 社会的評価の向上:単なる「支援者」ではなく、専門性を持つ職業として尊重されるべき

• AIの導入:単純業務は機械化し、人間ならではの「共感」や「関係構築」に集中できる環境整備が進むと期待


おわりに

いかがでしたでしょうか?

前回の対人援助職の記事のまとめでも述べたことと重なりますが、エッセンシャルワーカー(対人援助含む)は社会にとってはなくてはならない仕事ではある反面、私自身仕事をしてきた中で、それに伴う課題もまだまだたくさんあると感じています。

それは、様々な現場の課題と言われるように、スタッフが仕事を続けられるように精神衛生を保った環境を整えていくことが非常に大切であると考えています。

この点に関しては制度の整備も必要だと考えていますが、スタッフ自身のメンタル面のコントロールや育成、そしてチーム形成といった点への取り組みがより必要だと考えています。

そのためには、多様な学びの機会を持ちスタッフ一人ひとりの質を高めていく育成(教育)と合わせて、そもそもの募集や採用、配置といった人事の在り方の見直しも時には必要になってくると思います。今後、記事を読んで頂きながら皆様とともに考えていけたら幸いです。


次回は福祉道の心得の3つ目「心技体の備わった人間力が大切である」について深掘ってお話ししていきます。日常生活においても応用出来ますのでぜひお試しあれ!