福祉・介護・医療現場における業務効率化の重要性をわかりやすく解説。同じ作業を減らす考え方、記録業務の効率化、AI活用の実例、支援の質向上や離職防止につながる工夫まで詳しく紹介します。

もくじ
はじめに

介護福祉や医療などの対人援助の仕事をしていると、アクシデントを含め、日々様々なことに直面します。
日々やっていることを挙げてみたら、
見守り、食事、排せつ、入浴、移動、宿泊、服薬、話し相手、外出対応、通院対応、活動支援、余暇支援、困りごとの解決に向けた専門的支援、地域の中で暮らしていくために将来生活を考えていくこと、支援計画の運用、関係機関との連携、職員間の連携、チーム運営、利用者や患者の記録の作成、一日の業務の内容の報告(日誌作成)、アクシデントの対応およびその記録の作成、運転など
といったように、人の生活を見る仕事のため、枚挙にいとまがありません。
先ほどあげたたくさんの業務はあくまでチームで行っていくものではありますが、一人ひとりの職員の仕事の単位で見ても日々膨大な量の業務が発生します。
対人援助職の目的は「人に向き合うこと」「人を援助すること」に帰結します。
しかし、日々膨大な量の業務が押し寄せてくると、この目的を見失ってしまうことにもなりかねません。
これからお話しする業務効率化の考え方は、そのような目的を見失わずにいくためのカギになると考えますので、参考までに読んで頂ければ幸いです。

福祉・介護現場で重要な「記録業務」の効率化
業務効率化の基本|作業工程を細分化して考える
例えば、利用者の様子を記録したり患者から症状を聞き取ったりした際の情報が紙面に手書きで書き込まれ、その情報をさらにパソコンに入力し直し(清書)、印刷をかけるといった業務が少なからずあるのではないかと思います。
そのような場合は、効率化をするべきと考えます。
というのも、
この業務工程を細分化してみると以下のようになります。
①まず、「利用者の様子を記録したり患者から症状を聞き取ったりした際の情報」があります。
②そして、それを紙面に手書きで書き込みます。
③さらに、その情報をパソコンに入力し直します。
④最後に、印刷をかけます。
以上の①~④が細分化した行程と捉えます。
では、これをもとにどのように効率化を図ればよいのかをお話ししていきたいと思います。
まず、①の「利用者の様子を記録したり患者から症状を聞き取ったりした際の情報」は、その後の②~④のそれぞれの工程の土台となるため、なくてはならないものとなります。
一方、②の「紙面に手書きで書き込むこと」と、③の「情報をパソコンに入力し直すこと」は、「情報を記録する」という同質の作業工程と捉えることができます。
したがって、②と③の工程は一つにまとめることができると考えます。
では次に、どのようにして②と③の工程をまとめることができるのかについてお話ししたいと思います。
同じ作業を減らす|複数の工程をまとめて効率化する方法
工程をまとめる際はその場に合わせた工夫が必要になってきます。
手書きでの記録はせず(メモ程度は可)、すぐにパソコンやスマートフォンなどで情報をデータ化できる環境を整えるといいです。
具体的には、利用者がいる部屋の片隅などで職員がパソコンに記録できるスペースを作ったり、患者からの聞き取りを行う際(患者直筆は除く)にパソコンやスマートフォンでメモをとったりする形をとれるといいと思います。
また、周囲の理解が得られれば「音声入力(文字起こし)+AIの情報整理」を活用することで、職員がデータで入力する作業そのものをショートカットすることも可能です。つまりは①~③までの工程がまとめられます。しかしこちらは、録音に伴う個人情報やプライバシーの問題、そして、AIをはじめとしたデジタル活用に対する社会の理解がまだ浸透しきっていない問題が出てくるので、周囲の人達の理解を得ながら慎重に進めていくのが良いでしょう。
「本当に必要な業務か」を見直す|無駄な工程を減らす考え方
④の「印刷をかけること」のように、特定の工程が必ず必要なものなのかを吟味することも重要です。
監査や会議などでどうしても紙面が必要ということであれば印刷すべきですが、例えば、職場内の会議で、パソコンやスクリーン、スマートフォン上での参照で大丈夫なのであれば、印刷工程を可能な限り省略した方がいいと私は考えています。必要な人は各自で印刷してもらうようにするといった働きかけもいいと思います。
印刷工程を省くことでの新たな時間の創出、紙面の個人情報漏洩のリスク軽減、コストカット、環境問題への取り組みなどにも繋がります。
とても地味に思えるかもしれませんが、これらの積み重ねが「人に向き合う貴重な時間」を作ることに繋がります。

介護現場で実践したAI活用による業務効率化の体験談
前職(介護職)で、業務効率化の面において、AIを活用し、これまで膨大となっていた業務時間を大幅に短縮させ、事業全体の動きに繋がっていきました。
具体的には、会議や面談は音声録音(文字起こし)をし、話が終わるとほぼ同時に正確かつ詳細な議事録が出せるようにしました。
また、その他の書類や計画書の作成などにおいても人がパソコンに入力する作業時間は極力カットし、叩き台として資料がすぐに出来上がるようにしました。
AIを活用すれば、根拠書類になると同時に、モニタリング資料や計画などを迅速かつ分かりやすく提出してくれます。
しかし、ここでおさえておきたいのはAIに全てを任せ、考えることを放棄するのではなく、あくまで日々の積み重ねは人間がコツコツ行い、それを集約するのをAIに任せるといった使い方をすることが大切です。
考えや発想は人間が行い、情報の整理はAIが行うなど、明確な役割分担を意識するのが良いでしょう。
さらに、音声録音やAI活用をする際は、
「なぜ行うのか」
「どんな目的があるのか」
「個人情報は保護されるのか」
などを明確にし、誤解や不信感に繋がらないよう、可能な限り周囲の理解を得てから進めていくことが大切です。
おわりに 業務効率化は「人に向き合う時間」を取り戻すためにある

いかがだったでしょうか?
今回は「業務効率化」をテーマにお話しをしてきました。
業務効率化をする上での大切な考え方は、
・同じことをしないこと
・本当に必要な業務なのか吟味すること
にあります。
お話しを聞いてみて「なんだか大変だな」と思うかもしれませんが、忘れてはならないのが、これらの工夫は「人に向き合う時間の確保」に繋がっていくということです。
冒頭では、対人援助職の目的は「人に向き合うこと」「人を援助すること」に帰結するとお話ししました。
この目的を忘れず、たえず最適な環境をアップデートしていくことが、事業の継続や離職率を下げることに繋がり、最終的に利用者や患者の安全安心な暮らしにも繋がっていくと思います。
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