障害者雇用制度とは? 仕組み・目的・企業の取り組みをわかりやすく解説

障害者雇用制度とは何かを、仕組み・目的・企業の義務やメリットまでわかりやすく解説。これから制度を知りたい方や、雇用を検討する企業担当者にも役立つ入門ガイドです。

はじめに

障害者雇用制度は、障害のある人が社会の一員として働く機会を確保し、安定した生活を送れるようにするために設けられた仕組みです。

企業や行政が「どれだけ雇うべきか」を法律で定め、働くための環境づくりや支援体制も整えられています。

この記事では、制度の目的法的な枠組み雇用率助成金企業の取り組み例支援機関との連携まで、基礎からわかりやすく解説します。

※厚生労働省ホームページの「障害者雇用対策」についても参考までに読んで頂けると、より理解が深まると思います。


 障害者雇用制度とは?|制度の目的と基本的な考え方

障害者雇用制度は、次の3つを大きな柱として設計されています。

働く機会の確保

障害のある人も、希望や能力に応じて働けるようにすることが目的です。

そのための法律的な裏付けとして「障害者雇用促進法」が整備されています。

社会参加の促進

就労は収入の確保だけでなく、社会参加・役割の獲得・生活リズムの安定など、大きな意味を持ちます。

制度はその後押しをする役割を担っています。

企業・社会全体のダイバーシティ推進

多様な働き手が活躍することで、企業にも新たな価値が生まれると位置づけられています。


法的な仕組み:障害者雇用促進法

日本では「障害者雇用促進法」により、企業に対し障害者を一定の割合以上雇うことが義務づけられています

障害者雇用率制度

企業は、全従業員数に対して一定割合の障害者を雇用する必要があります。

・民間企業:2.5%(2024年度時点)

・国、自治体:2.6%

・教育委員会:2.5%

雇用率を達成できない企業は「障害者雇用納付金」が発生し、逆に達成・推進している企業は「調整金」「報奨金」「助成金」の対象になります。

対象となる障害区分

・身体障害

・知的障害

・精神障害

発達障害(精神障害者保健福祉手帳の有無で判断されるケース)

・難病(指定の疾病)


障害者雇用の方法と働き方の多様化

企業は、障害の特性に配慮した働き方を提供することが求められます。

一般企業での直接雇用

最もスタンダードな雇用形態です。

勤務時間や仕事内容は多様で、特性に応じて業務調整を行います。

特例子会社

障害者雇用を積極的に行うために設立された子会社で、一定条件を満たすと「特例子会社」として認定されます。

集中した配慮体制により、働きやすい環境が整備されやすい特徴があります。

在宅雇用・テレワーク

近年増えている働き方で、通勤が難しい場合などに有効です。


障害者雇用で求められる「合理的配慮」とは

「合理的配慮」とは、障害のある社員が他の社員と同じように働けるよう、企業が必要な調整や配慮を行うことです。

例としては…

・作業工程の見える化(写真・マニュアル・手順書)

・静かな作業環境の確保

・通院配慮

・出退勤時刻の柔軟化

・業務量の段階的な調整

・支援機器(拡大読書器・コミュニケーション支援機器など)の活用

合理的配慮は「過度な負担」とならない範囲で企業に義務づけられています。


支援機関との連携:就労を支えるネットワーク

障害者の就労には、企業だけでなく複数の支援機関が関与します。

●ハローワーク

求人紹介や職場定着支援を担当。

●ジョブコーチ(職場適応援助者)

職場に入り、本人と企業双方をサポートする専門職。

就労移行支援就労継続支援事業所(A/B型)

就労の準備、訓練、スキル向上に取り組む機関。

企業とのマッチングや定着支援も行います。


障害者を雇用する企業が受けられる主な助成金

障害者雇用を推進する企業向けに、多くの助成金が整備されています。

代表的な助成金

・障害者雇用安定助成金

・特定求職者雇用開発助成金

・施設整備費の助成

・職場適応援助者(ジョブコーチ)支援

助成金の活用は、企業にとって雇用推進の大きなインセンティブとなっています。


障害者雇用における企業と本人のメリット

企業にとってのメリット

組織の多様性が進み、新たな価値が生まれる

多様性はイノベーションの源泉とされています。

社会的評価の向上

企業の社会的責任の観点からも、障害者雇用の推進は重要です。

職場全体のコミュニケーション改善

業務手順の整理や環境整備が進み、結果的に全従業員が働きやすい環境になるケースも多くあります。

障害者を持つ本人にとってのメリット

①自分の役割を得られる

働くことは自尊心・自己効力感の向上につながります。

②経済的な安定

継続的な収入が生活の基盤となります。

③社会とのつながりが広がる

働くことで地域の中での関係性が自然と増えていきます。


 障害者雇用の現場で起こりやすい課題と現実

制度は整っている一方、課題も存在します。

課題の例

・雇用率を達成できていない企業の存在

・特性と業務内容のミスマッチ

・職場内理解不足による早期離職

・配慮を過度に「特別扱い」と捉える風土

・支援機関との連携不足

これらの課題を解消するために、国は制度改善や助成金の拡充を進めています。


おわりに

障害者雇用制度:地域共生社会に向けて

今後は、テレワークの活用・AIやICTによる能力補完・企業文化としてのダイバーシティ推進がより一層求められます。

また、雇うこと自体が目的ではなく、「働き続けられる環境づくり」へと重点が移りつつあります。

障害者雇用制度は、社会全体の成熟度を示す重要な仕組みです。

制度を理解し、企業・支援機関・地域が連携することで、誰もが自分らしく働ける社会に近づいていきます。


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