仕事との出会い
私は社会福祉法人の生活介護事業所に勤めていました。そこには、重度の肢体不自由と知的障害が重複している方々が通所されています。詳しい自己紹介はこちらの記事よりご覧ください。
仕事との出会いのきっかけは、私が大学在学中、ある先生から「福祉施設で音楽活動が行われているので手伝ってみないか」とお声がけいただいたことがきっかけでした。見学に行った際、音楽プログラムがあり、私は少しだけギターを弾きました。そのとき、利用者さんが真剣にこちらを見たり、笑顔を見せてくださったことが強く心に残りました。
その後、施設の音楽活動に関わり、地域の人々と一緒に演奏する機会もありました。私はそれまで自分の音楽を自己表現のために用いることが多かったのですが、人に喜んでもらえる形で音楽を届けることに新たな意味を見いだしました。この経験が、福祉の仕事を意識する大きなきっかけとなりました。
福祉の世界へ
大学4年のときにその生活介護事業所でアルバイトを始めました。学内では生命倫理を学び、障害や人の尊厳、意思決定、権利などについて考える機会がありました。また、実習を通して重度の障害がある利用者さんと出会い、支援の現場に触れながら学びを深めることができました。
当時の私は将来について迷っており、音楽を続けたいという思いが強く、就職に積極的になれませんでした。しかし、ボランティアやアルバイトを重ねる中で、この仕事なら今後もやってみたいと感じるようになりました。
就職
そのような経験を経て、現在の職場に就職しました。仕事内容は、利用者さんの歩行や食事、移乗、トイレなどの介助に加え、日常生活の支援や関係機関との連携など多岐にわたります。
特に大切だと感じるのは、利用者さんが「何に喜びを感じているのか」「どのように暮らしていきたいのか」といった人生そのものに焦点を当てることです。長く関わるなかでお別れを経験することもありますが、それもまた「人生に寄り添う」ことの一部だと実感しています。
また、重要な業務の一つに「アセスメント」があります。これは、利用者さんの生活環境や困りごと、特性や強みなどを把握し、支援方針を考える取り組みです。その過程で立てられる支援計画は、立案する担当職員の想いだけでなく、ご本人やご家族、地域、チーム職員、関係機関など多くの視点を取り入れて作成されます。
この支援計画は、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)の流れを繰り返す「PDCAサイクル」に基づいています。福祉の現場においても、このサイクルは欠かせない考え方になっています。
おわりに
福祉職は、人生に寄り添う仕事です。利用者さんが安心して生活できるよう支援する一方で、必要に応じて行動や生活習慣の改善を一緒に考えていくこともあります。
私たち職員は「教える立場」ではなく、利用者さんが自分らしく生き、社会の中で喜びを見つけられるよう支える立場にあります。あくまで人生の主役は利用者さんであり、その大切な一部に関わることができることに大きなやりがいを感じています。