ようこそ、対人援助を学べるバーチャル道場「福祉道」へ。
ここでは、対人援助職と呼ばれる福祉の仕事に10年間携わっていた私の経験から得た支援の知識とノウハウを独自の視点を交えて分かりやすくお伝え出来ればと思っています。福祉をはじめ、子育てや教育、医療、そしてすべての人間関係に活かせる内容でもありますので、ぜひ習得してみてください!
※詳しい自己紹介はこちらの記事に書いていますので、合わせて読んで頂ければと思います。
まずは福祉道の心得のおさらいです。
心得は以下の3つです。
③心技体の備わった人間力が大切である
※福祉道の心得の概要はこちらの記事にまとめていますので合わせて読んで頂けたらと思います。
心技体の備わった人間力が大切である
そして今回は、福祉道の心得の3つ目「心技体の備わった人間力が大切である」についてを詳しくお話ししていきたいと思います。
自己紹介でも触れさせて頂きましたが、私は小学生の時は書道、剣道、サッカーに打ち込み、サッカーは高校2年の終わり頃まで続けていました。特に武道にあたる剣道では、剣道に向き合うための心意気、技(型)の練習、試合で相手に負けないための体作り、などといった点で心技体の考え方をたくさん学ばさせられました。
そして、これは福祉職においても同様だと考えます。相手に向き合うための心のマネジメント、多角的な視点で支援するために必要な知識(技)、介助をするための体の使い方といった点で、現場では大々的に心技体が大切だと謳わずとも、総じて、これらの考え方は福祉の現場においては求められていたように感じてきました。
そのため私は、剣道をはじめとした武道やスポーツと同様に、福祉職もこの心技体を整えた状態で臨んでいくことが求められる仕事だと考えているのです。
今回の記事はこの心技体について、特に対人援助職に焦点を当てながら、その意味や必要性を深掘っていきたいと思います。
心技体とは?
心技体とは、文字通り心、技、体の3つの要素からなっています。武道やスポーツ、そして対人援助においても、これらの3要素がバランスよく発達している状態がより良いパフォーマンスを発揮できる状態と言えます。
では、対人援助における3要素とは一体どのようなものがあるのでしょうか?
①心
「心」は精神面を指します。
礼節や思いやり、忍耐力、集中力など、すべての行動の根本にある在り方を意味します。
スポーツで言えば「勝ちたい気持ち」「諦めない心」、福祉現場では「相手に寄り添う姿勢」や「誠実な支援の意識」にあたります。
心が乱れると技や体も崩れ、バランスを欠くため、まず整えるべきは「心」とされます。
・相手を知ろうとする姿勢(興味関心)
・相手の話を聞く姿勢(傾聴)
・アンガーマネジメント(メンタルコントロール)
・倫理観の醸成
→などといったように、福祉においては自他の心の在り方と尊厳がテーマとなってきます。
②技
「技」は技術や知識、スキルを意味します。
正しい型や理論を身につけ、状況に応じて柔軟に使いこなす力です。
武道での「型」や「構え」、介護での「介助技術」や「観察・記録のスキル」などが該当します。
心が整っていても、技が未熟だと実践にはつながらないため、日々の訓練と経験が欠かせません。
・障害のある方や高齢者への支援知識(資格)
・制度の理解
・業務効率化
・業務としてどこまでやってどこまでやらないかを明確する
→などといったように、福祉においては知識や技術を活かして課題を解消させることがテーマとなってきます。
③体
「体」は身体的な力・健康・体力を指します。
心と技を発揮するための「土台」であり、体調管理や姿勢、呼吸、筋力、バランス感覚など、実際に行動する力の源です。
福祉の現場では「自分の体を壊さずに支援する」「体を通して相手に安心感を与える」といった意味にもつながります。
・介助技術(体の使い方)
・健康や体の機能の理解
・感染予防
→などといったように、人間の体を知ることで、利用者に対してはいち早く体調の異変に気が付に、そして、自身や他のスタッフに対しては体を痛めないような工夫を施したりすることがテーマとなってきます。
おわりに
いかがだったでしょうか?
以上が、対人援助における心技体それぞれの考え方でした。
心・技・体という言葉は、武道やスポーツの世界だけでなく、対人援助の現場においても欠かせない考え方です。
・相手に寄り添うための「心」
・支援に必要な「技」
・自分自身や利用者を守る「体」
以上の3つの要素をバランスよく育てていくことで、支援の質はより深まり、自分自身の成長、そして、相手との信頼関係にもつながっていきます。
福祉の仕事は、決して一人で完結するものではなく、常に人と人とが関わり合いながら築かれていく営みです。だからこそ、心・技・体を意識しながら日々を積み重ねていくことが、利用者さんやご家族、そして、それを支える自分自身をも支える大切な力になるのだと思います。
次回以降は、この心・技・体を実際の現場でどのように活かしていけばよいのか、その具体的な工夫やヒントについて掘り下げていきます。ぜひ、日常の支援や人との関わりの中で取り入れていただけたら嬉しいです。
読んで頂きありがとうございました!